つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗です
第029号
アサヒスーパードライから、
ビール王者の座を奪回せよとの命令をうけ、
最下位ランクの高知支店を6年で県内のトップシェアにし、
その後、全国でもシェアを回復し
キリンビールのV字回復に貢献した立役者、
元キリンビール株式会社
代表取締役副社長田村潤さんが
書かれた本がこちら
キリンビール高知支店の奇跡
https://www.amazon.co.jp/dp/4062729245/
どこの会社でも、成績が落ちてくると、
あれやこれやと上司からの指示が増えます。
するとその指示をいかにこなすか、
忠実に守るかのみが使命となって、
受け身の営業スタイルに陥り、
主体的に動けない。
社員はただの歯車になってしまう。
それが、田村さんが支店長として
赴任した当時の高知支店でした。
田村さんは市場で勝つための闘いと
営業マンを変えていくというインナーでの闘いの
両方に挑んでいきます。
この営業マンを変えていく取り組みのひとつが、
メンバーが自発的な目標を定め、
リーダーとの間で約束したら、
その合意の結果をしっかり検証するという
「結果のコミュニケーション」という取り組みです。
自分で目標をたてたものを達成するということに
徹底的にこだわる行動を続けることで
基礎体力がついていきました。
ノルマではなく、あくまで自発的な目標、結果の
約束だったことが大きいと書かれています。
4ヶ月目、やり続けることで、
徐々に創意工夫が生まれ、
今まで見えなかったものが見えるように
なっていきます。
私が作る評価シートでは、
成果を出す為の行動目標を掲げて、
それをやり切る指導をするように
上司の方にお話しています。
やり切るという定義はそれぞれあるでしょうが、
高知支店は4ヶ月目に変化の兆しが見えてきます。
4ヶ月です!
長いとみるか、短いとみるか?
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)
で行われた調査に基づく調査では、
習慣化には66日かかると言われています。
負荷の高い行動ほど習慣化には時間がかかるそうです。
4ヶ月、240日程度やって、
始めて習慣化する=やり切って日常になった、
と言えるのでしょう。
再び、キリンビール
高知支店の奇跡に話を戻せば、
現場に答えがあるというところまではわかっても、
アサヒに負けているという事実は覆りません。
さらっと書かれていますが、
一生懸命やっているのに数字が落ちてくることで、
病人まででてきてしまいます。
そこでどうしたか。。。
1996年の話です。
楽をして売れる=消費者に勝手に手にとっていただく
状態にするにはどうしたらいいのか
そこだけを考えるようになったとあります。
よくある、死ぬ気でがんばれ!ではないのです。
この冷静な判断は、見習いたいものです。
結果、行き着いたのが広告戦略でした。
それでもまだ逆風は続きます。
看板商品のラガーの味の変更が
立ちはだかります。
ラガーの味の変更を元に戻すことこそ、
会社の理念に沿うことと、
田村さんの中で結論に達すると、
覚悟がきまり、迷いがなくなります。
これがV字回復につながります。
この本を貫くのは、ビジョンとやり切る力です。
現場と向かいあい、答えを拾っていくしか
打開の道はありません。
それを支えるのは
理念「品質本位」「お客様本位」であり、
やり切る気持ちを後押しするのは、
ビジョン「どこに行ってもキリンが置いてあり、
欲しいときに手に取っていただけるという状態」
です。
多様化の時代の現在、
答えがひとつの時代は終わりました。
数字だけにこだわると、うまくいくことしか
やらなくなります。
いつもと同じことを繰り返すのみです。
だからこそ、数字ではなく、
理念、ビジョンでみんなをまとめる
組織マネジメントが求められています。
お読みいただき、ありがとうございました。