人事制度の作り方「賞与ってどうやって決めていますか」

つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗です

第026号

昇給額を決めたと思ったら、
もう、賞与支給の時期がやってきますね。
賞与は絶対支給しなければいけないものではない、
と言いながらも、社長さんとすれば、
少しでも出してあげたい、というのが本音です。

支給額の決定方法は、
基本給×支給係数(月数が多いですね)
という会社が多いですね。

なかなか、もとになる賞与原資が事前に決められないので、
今年のボーナスどれくらいですかね?って
社員さんに聞かれても、

「うん、出ると思うよ」というあいまいな答えしか
返せていないと、社長さんからうかがいます。
たとえば去年並みかな。って言っても
経営者と社員の受け止め方は違うので、
なかなか伝え方は難しいですね。

はっきり言えない理由のひとつには
賞与原資の予算の枠の中で支給することになるので、
賞与原資を直近の試算表を見て決定しています。
どうしても、その後ギリギリで個別支給額を決定
することから、あいまいな答え方しかできない、
ということでもあります。

例えば、支給係数を1.5とします。
そうすると、基本給×支給係数1.5×社員数=500万円
500万円が必要な額だとします。

ただ、会社が考える賞与原資が350万円だとすると、
350万円の中で支給することになるので、
再度、個別支給額を見直す必要があります。

350万÷500万=0.7 支給係数を0.7に変更して、
個別支給額を計算します。

この方法には、評価の視点は入っていませんね。

実は規模が小さい会社は
決め方として多いのは、役員が集まって、
賞与原資は、これくらいなら出せそう
と、検討しながら、原資をまずざっくり決めます。

冬はこれくらい出したから、
夏はそれより●円多くして、という感じで
決めている会社が多いです。

この去年より●円多くとか、少なく
というのが曲者です。
こういう支給の決め方をしている会社で
賞与支給のルール化をしようとすると、
会社のこれまでの支給額をベースにした
算出式を作って、ルールを作ることは難しいです。

昨年対比で賞与支給している会社の場合、
昨年が、たまたま利益が多く出たとか、
あるいは少なかったことから、
例外的な支給額だとすると、
平均的な支給額が見えてきません。

去年は少し抑えめだったから、
その分今年は多くしようとか、
その逆の場合もあるので、
そうすると、その例外的な額を基準として
また翌年金額を設定することになると、
平均値を求めることは出来ず、ルール化できません。

まずは、賞与原資は、毎年の粗利の
何パーセントが賞与原資、とか、
売上がこれくらいなら、この金額が出せるなど、
一定のルールを決めるところから始めましょう。

一般社団法人日本キャッシュフローコーチ協会
代表理事の和仁達也さんが、
西順一郎先生の著作である
『戦略会計STRACⅡ』のSTRAC表を加筆引用して、
会社のお金の流れの全体像を示した
「お金のブロックパズル」を使うのがおすすめです。

上記のように、いったん会社のお金の流れを
図式化して、賞与原資を算出していきましょう。

賞与原資が決まれば、
評価によって変動して支給する額、
固定的に支給する額に分けます。

ここでは、全額を評価で算出する場合で考えてみましょう。

評価で決定する額については、
評価結果、例えば1~5評価であれば、
それぞれの支給係数をあらかじめ決めておいて、
基礎となる給与×支給係数で決定します。
これをポイント換算して、総ポイント数をまず出します。

賞与原資をこの総ポイント数で除して
ポイント単価を出します。
再度このポイント単価×個別のポイント数を乗じると、
個別支給額が算出できます。

ルール化ができると、
社員さんから支給前に聞かれても、
売上(あるいは粗利)によって
変動する一定のルールを伝えられます。

自分たちの賞与が、
会社の数字と結びついていることを、
実感してもらえますね。

お読みいただき、ありがとうございました。

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