第916号
先日、セミナーで自己紹介するときに
私がやっていることは、
人の強みに
「8割の社員が育つ仕組み」と
関係性を
掛け合わせられる組織を
デザインすることです。
とあいさつさせていただいたところ
休憩時間に質問をいただきました。
「全員を育てるんではないんですね
確かに全員は無理ですもんね」
この言葉にちょっと焦りました。
誤解を招く表現だと、自分で紹介しながら、
ちょっと頭をよぎったのですが。。。
質問していただき、説明できてよかったです。
この8割とは、普通の業績を上げる6割と
低い業績の2割の社員を指して言っています。
休憩時間に誤解は解けたのですが、
全員は無理ですよね。。。と
質問された方が思われていた理由は、
人を育てるには時間がかかる、
という考えが根底にあるからだと
思います。
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行動評価をしている会社が多いと
以前ブログでも書きましたが、
その多くは、高い仕事の成果を
出している人の行動特性である
コンピテンシーをもとに評価して
いると思います。
いわゆる上位2割の人の行動を
その他8割の人が「再現する」
というやり方です。
中小企業でも、時間と労力が必要な
全員の仕事調べをしなくても、
成果がでている人の
行動を観察、分解することで
時間と労力を減らして、
成果をだすために『外せない行動』が
可視化できるというメリットがあります。
非常に理にかなっていると思われ、
それまで成果を出すのに遠回り
していた8割の人達の時間短縮にも
なります。
私自身、この手順で評価制度を
作ってきました。
それでも、中小企業の社長の皆さんと
人をどう育てるかという話になると
人は育てなければと思うけど、
うちではまだ無理。
人を育てるのは時間がかかるし、
教える余裕がない。
まずは売上をもっと上げないと。
と、言うような言葉が返ってくる
ことが多いです。
・人が業績を作ること。
・採用が難しいなか、今いる人材にがんばってもらわなければならない。
社長からは、そんな言葉も出てくる
のですが。
実際、行動評価を取り入れていても
“外せない行動”を可視化できていない
場合もあります。
その人だからできるやり方(行動)と
誰にとっても欠かせないやり方(行動)が
分けられていないことが多いのです。
その人だからできるやり方は
つまり『強み』に起因するものです。
これは、他の人がやっても
再現は難しいものです。
時間がかかるというより、
真似できません。
誰にとっても必須の行動を
仕組みに落とし込むことが
成果につながります。
成果と行動が連動していなければ
それは、誰にとっても必須の
行動ではないのかもしれない、
と、見直してみる必要があります。
あるいは、
行動を実践し続けられるような
仕組み、たとえば面談などで
上司が支援する体制づくりが
出来ておらず、
行動の振り返りが不十分で
成果につながっていない
可能性もあります。
そもそも人を育てるのは
時間がかかると思ってしまうのは、
人を育てることと業績を上げることを
同じ時間軸で考えてしまっている
ことも関係しています。
時間軸を分けて考えると、
会社の目標を達成する=結果を出す
これは短い時間軸の話です。
人を育てるというのは、
1年~数年かけて取り組む、
長い時間軸の話です。
両方は無理、と思ってしまうのは
短い時間軸で両方をやろうと
考えるからではないか、と
思うのです。
人を育てることを意識しながら
“結果を出す”というのが
実践的なやり方です。
例えば3ヶ月程度、あるいは
6ヶ月でも、
達成する目標を設定して、
達成感、成功体験を
上司も部下も享受しながら、
時間軸をその先に延ばして
3年後、5年後のビジョンで示す
最終の目標を目指すというものです。
こうした小さな目標を設定することで、
それまで遠回りしながらも、
普通並みの業績を上げてきた6割と
どうやればわからなくて
低い業績のままの2割の社員を
会社の業績を上げながら、
部下だけでなく、上司も育てる
ことができると考えています。
ところで、上位2割はほおって
おくのか?
と言えば、そうではありません。
上位2割はもっと合理的なやり方は
ないか、と自分でみつけて
勝手に上を目指して成長していきます。
人を育てるには『教える』という
やり方も用いますが、
大きく成長するタイミングでは
必ずそこに本人自身の『気づき』が
あります。
気づきはその人自身の
強み(=人材力)と連動しています。
その気づきを誘発するために
目標設定(=仕組み)があり
上司との面談(=関係力)が
気づきを定着させてくれます。
この人材力、組織力、関係力という
3つがそろったとき
再現性のある組織の成果を生み出す
ことができます。
どれかひとつでも欠けていると、
時間がかかったり、成果が半減します。
時間軸をさらに延ばして
継続的な成果を出し続けるために、
人を育てることに取り組むのに
早すぎる、ということはないと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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