伝わる行動レベルの指示を出して全体像を見せる

第895号

「部下にもっと自発的に動いてもらう
ために、どんなふうに指示を出せばよいでしょう」

「部下が指示通りに動いてくれないのですが、
どうしたらよいでしょう」

部下を初めてもった上司の方から
こんなことを聞かれることがあります。

指示の出し方で悩んでいる上司の方、
結構いらっしゃるんだなって思いました。

いかに具体的に、行動がイメージ
できるような指示ができるかが
ポイントだと思います。

そういえば新入社員のとき、
「この作業は丁寧にやってね」

初めて任された仕事の、
上司の指示の出し方を
思い出します。

今でも、このときの上司が
どんなことをイメージしていたのか
はっきりとは、わかりません。

それでは、具体的な指示とは
言えません。

人によって丁寧は同じではありません。

そもそも人と人は違います。

いかに行動レベルに落とし込んで
言語化して伝えられるかを
意識することが大切です。

特に新入社員にとって上司は
会社そのものです。
———————————————————————–

もう何十年も前の話ですが
丁寧にやってね、と言われた
私がやったことは、

時間をかけて何度も見直しして
書類を作成したのを思い出します。

時間をかけること=丁寧
と思っていたんです。

作り上げて上司にもっていったとき
「ずいぶん時間がかかったね」
と少し笑いながら言われて

あれっ、何か間違っていたのかな?
と思ったものです。

上司からすれば、
間違わないように、集中して
作ってね、という意味合いだった
のかもしれません。

そんなことは言ってもらわないと
わからないし、

でも、それを言われても、
どうやればいいのか、

やっぱり上司の思う行動は、
伝わらなかっただろうと
思います。

伝えるのは相手が新入社員でも
中堅でも、上司の役割です。

そして、なかでも新入社員
にとって上司の姿こそが
会社の姿です。

会社を体現しているのが
自分の直属の上司、と
見えています。

特に、普段なかなか社長と
合う機会がないような会社だと

ビジョンや理念よりも
上司の言動で会社の組織風土を
捉えるものです。

上司に失望することは
会社に失望することに
なってしまうものだと思います。

上司の言動は重要です。

評価制度のあるなしにかかわらず
何で評価して処遇を決定していますか
と尋ねると、

多くの会社が、能力より、
発揮される行動で評価します。
と答えてくださいます。

行動を評価することが
当たり前になっているのであれば
本来は、指示も具体的にできる
はずなんですが、

現実には、どうしても
行動よりも

丁寧とか
がんばっているとか

行動以外に目がいきがち
なような気がします。

そうすると
何か失敗したとき

行動に対して指摘するのでなく

「仕事への本気度が足りない」
「学生気分が抜けてないんじゃないか」

というような、精神面や性格を
否定するようなことを、つい
言ってしまいます。

これが行き過ぎてしまうと、
パワハラと言われてもしょうがない

ということになってしまいます。

ほんとに上司は大変だと思います。

でも、やるしかありません。

具体的な行動の指示というのは
なにも、逐一細かく行動を指示する
ということではありません。

それでは指示待ち人間に
なってしまいます。

伝わるような
行動レベルの指示を出すには

現状→指示(行動)内容→指示(行動)後の状態

指示とそのbefore Afterを
意識して伝えることで

受ける側は“全体像”を
みることができると思います。

・この秋の季節メニューの売上速報から

・A商品のみ抜き出してこの書類の数字の部分を完成させてください

・その文書の数字を参考にして地域営業所が次期の
売上予算を作成して提出してくれます。

どうなるために、
自分のやるべきことは何なのか、

わかる(伝わる)ようになると
思います。

お読みいただき、ありがとうございました。
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