第551号
この秋のスポーツのイベントの感動に
目を奪われているうちに、
冬のドラマの新番組が始まっていました。
今はユーチューブにおされ気味の
テレビですが、私としては、
それほどテレビを見なくなった
今でも、やはり新番組の初回は
気になります。
そんななかで、ラグビーの試合の
裏に初回が、かちあってしまった
TBSテレビの日曜劇場。
木村拓哉(キムタク)主演の
「グランメゾン東京」
https://www.tbs.co.jp/grandmaisontokyo/
視聴率は、昔ほどのオバケ数字には
届かなかったものの、ファンならずとも
「おもしろい」と好評のようです。
かくいう私も、実はおもしろいと
思って、HERO以来の真剣度で
見ています。
何がおもしろいと感じたのかというと
いつもの主演ドラマとちょっと違うのです。
筋立ては安心して見ていられます。
キムタクが主演ではあるのですが、
主演としてひとりでグイグイ
引っ張るというよりは
今、ラグビーで旬の、“チーム”感が
随所に感じられます。
むしろ、最強の2番手という感じで
前へ前へと出る演技だけでなく
受けの演技もやっています。
HEROも“チームもの”では
ありました。
ですから、HERO初回放送が
2001年だということを考えると
原点回帰と言えるのかもしれません。
ただ、より人間味(落ち込んだり、
反省したり、あせったり、袖にされたり)が
加味されていて、いわゆる”ヒーロー”とは
違う人物像を描いています。
ドラマの番組紹介によると
『世界最高の三つ星レストランを目指し
挫折した男がもう一度夢に向かう
“大人の青春” をかけたヒューマンストーリー』
とありますが、
第3話が終わった時点では
バラバラになった才能というピースが
グランメゾン東京に集まって
再び、三つ星レストランを目指す
チームの物語
という感じです。
どのようにして
壊れたチームが再び
チームになるのか。
これは、これまでも取り上げた
チームが成長する段階を、
4段階で説明した
「タックマンモデル」に当てはめて
みることができます。
成長する段階は4段階で
1.形成
2.嵐
3.秩序
4.成果
という4つの段階を経るというものです。
Uの字のように
いったん谷に落ちたものが
這い上がるように、
成果も上がっていきます。
谷を経て、
ただ集まっただけの人々は
チームになるというものです。
そう考えてみると、番組は嵐から
始まりました。
観てる側からすると
一番おもしろいところから
始まったというわけです。
バラバラになるきっかけとなった
毒物混入事件が一人ひとりのなかで
いまだに尾をひいています。
今は嵐のなかにいて
それぞれが、パリで
主人公の下で働いていたときは
言えなかった思いを
ガンガンぶつけてきます。
絶対人の言うことは
聞きいれない主人公が
周りの意見に耳を傾けます。
どうやら、主人公も変わってきている
ことがわかります。
一番大きな変化が
高級食材にこだわっていた主人公が
「見えない手間ひまをかけて勝負」
というものに変わったことです。
ここには鈴木京香演じるヒロインが
大きく影響しているのですが、
このふたりの関係性が対等に描かれ、
時にはドラマを展開させていく主人公の
役回りを演じているのが、
このドラマにスパイスを効かせています。
タックマンモデルでいうところの”嵐”
の原因になった当時の事件の渦中に
いなかったヒロインが
よい触媒となって、
主人公は自分で自分自身の価値観を変えて
その結果、元の仲間を引き寄せ
おそらく、またみんなが集結して
三ツ星を目指すのだろうなぁと
思われます。
視聴者は安心しながらおいしい
料理も目で味わえる
日曜の夜にふさわしいドラマを
楽しんでいます。
人の言うことを聞かない絶対君主の
主人公にヒロインはどんな影響を
与えたのでしょう。
いったい、何をしたのでしょうか。
ヒロインは主人公を
信じたのだと思います。
それは、劇中
「性根まで腐っていたら、
こんなおいしい料理は
できない」というセリフや
母の死亡保険金を
スタッフ引き抜きのために
借金返済用に差し出しり
融資を銀行から引き出すために
試食用に作った一皿を
「この一皿にはその価値があります」
と、絶対手放せないと言っていた
母の形見の家の権利書を差し出すのです。
理解しようとしても
主人公はなぞだらけです。
ヒロインは、頭で理解する前に、
「信じた」のです。
そして何より
主人公とヒロインは
目的が一致しています。
”東京に三ツ星のグランメゾンを作る”
ここが明確だから信じられます。
こうして二人の間に絆が結ばれ
協力してオープンにこぎつけようと
しているのが、第3話までの展開です。
果たしてこのまますんなり
秩序は生まれるのでしょうか?
どういうきっかけで
嵐をぬけることが
できるのでしょうか?
ドラマは12月まで続きますから
まだまだ波乱がありそうです。
ただ言えることは、トップが変われば
組織は変わるということ。
協力者は現れるということは
ドラマもリアルも同様です。
リアルなチームビルディングは
もちろん描かれないでしょうが、
チームということを意識しながら
見ていくのも、いまどきの視聴で
ありかなぁと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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