第203号
日本シリーズは最終戦までいかずに、
4勝1敗1引き分けでソフトバンクホークスが
日本一になりました。
MVPに輝いたのが、6連続盗塁阻止を
やってのけた甲斐捕手。
甲斐キャノンという言葉まで生み出すほど、
その盗塁阻止は鮮烈でした。
これを球場に見に行くだけでも
価値あるなぁと思わせるものです。
正直、知りませんでした。
知らなくてもったいないことをしました。
ドラフト外、育成出身の選手です。
この甲斐選手の成長の陰に、
広島カープ出身の達川ヘッドコーチの
指導も一役買っていたかと思うと、
ドラマがありますね。
打率のほうは1.43 決して貢献したとは
言えませんから、まさに守りでMVPを勝ち取った
ということになります。
でも考えてみれば、パ・リーグ優勝は
西武ライオンズです。
ソフトバンクは2位です。
広島はセ・リーグ3連覇です。
今年のソフトバンクは、ものすごく強かった
というわけではないはずなのですが、
何が勝敗を分けたのでしょうか。
強みを封じたものが勝つ。
例えば「封じる」と言えば
これまでなら4番をノーヒットに抑える。
エースピッチャーを打ち砕く。
それが、今年は、
広島の足を甲斐キャノンが封じ込める
ということが、” 強みを封じる ”
ということでした。
広島の4番の鈴木選手は当たっていたのです。
エースが当たっていても、勝てなかったとも言えます。
当然、広島は、
戦術変更しなければなりません。
いかんせん、短期決戦では、
わかっていても、なかなか戦術変更は難しいです。
それがうまくいく保証もありません。
そもそも赤ヘルが大旋風を起こした
初優勝の1975年から、広島と言えば、
機動力だったのです。
広島の緒方監督は、一昨年の日本シリーズで、
機動力を使わなかったことを消極的な采配と
言われた経緯もあります。
早々、伝統の機動力を捨てて、
違う道筋を選択するということは、
アイデンティティというか「らしさ」を
変えることですから、簡単ではないですね。
短期決戦では特に、指揮官(リーダー)の
決断する勇気が必要だと言われます。
捨てる勇気か、
拘るのでなく、やり続ける勇気か。
勝負は非情です。
勝ったものが正解になってしまいます。
強みを封じるということは、
つまりは強みを活かすことでもあります。
今年2位だったソフトバンクは、
けが人が多いシーズンでした。
だからこそ、それぞれが
自分の力を発揮して
(強み)役割をきちんとこなして、
互いを補完し補強しあう、
強い組織力で勝利をしてきました。
日本シリーズが始まったとき、
私はブログに勝敗を分けるのは、
広島は新井選手、
ソフトバンクは内川選手
と書きました。
でも、結果は、
誰かが突出して引っ張るのでなく、
それぞれが適材適所で働いていました。
まさに『チームビルディング』です。
去年の日本一の功労者
内川選手は第5戦、第6戦で
送りバントをしっかり決めていますが、
公式戦の犠打は横浜(現DeNA)時代の
2010年8月27日の中日戦以来
2988日ぶりだったと言います。
それほどバントをさせてこなかった選手
がバントをしたことに驚きましたが、
ほんとにすごいのは、
この8年間、内川選手が、
ほぼ全試合の前に犠打の練習を
続けてきたことです。
「当然、そう(送りバント)だと思った。年に1度あるかないかだけど、そのために毎日、準備はしている」
と、内川選手はいいます。
まさにフォア・ザ・チーム です。
勝つチームには ”わけ” があります。
勝ちたいと言うだけでなく、
内川選手にバントを命じ、
松田選手を控えにまわすという
決断をし、行動で本気を示すリーダー
工藤監督の言葉を借りれば
「選手の誰一人それ(日本一)を疑わず、ここまで来れたから日本一になれたと思っています」
ベテランも中堅も若手も、それぞれが自分の
役割を果たしたことが、勝利につながります。
誰かが引っ張っての日本一ではないだけに、
来年のソフトバンクホークスも強そうです。
お読みいただき、ありがとうございました。
つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗でした。