第143号
体操女子リオデジャネイロ・オリンピック代表の
宮川紗江選手への暴力行為で、日本体操協会から
無期限の登録抹消処分を受けた速見佑斗コーチが、
都内で会見を開きました。
「暴力行為は指導の一環という認識で自分も大人になってしまった。」
という発言は、体操界全体の風土として、暴力とは思わずに、
そのような行為が、指導という名のもとで普通に行われても
不思議ではないということが、窺い知れます。
「宮川選手が練習に身が入っておらず、危険な場面になって
しまうことがあったので、命に関わってしまう演技の部分で
暴力行為をしてしまった」
というのは、選手も分別がつく年齢なので、口頭で危険を
説明できなかったのかなと、残念です。
いろいろと話がそこから他に派生して、
本題はなんだったのかが隠れてしまいそうですが、
信頼関係がしっかりあるコーチと選手であれば、
暴力行為で指導しなくても、練習の効果を上げる方法は
あっただろうに、と、最良の結果を出すための手段の
選択の間違いが残念です。
管理職の方と面談すると、叱るのと褒めるのは、
どれくらいの比率で行えばよいのでしょうか?
という質問をいただくことがあります。
部下を初めてもった方は、やはり気になるところのようです。
どういうときに怒って、どういう時に褒めるのがいいのか。
こういうときは、こういうやり方をする。
ということが知りたいということですよね。
これって、“ 手段 ” を知りたいということですね。
真剣に悩んでおられることはよくわかるのですが、
実は手段、やり方に気をとられると、部下指導は
失敗してしまいます。
叱るのも褒めるのも、その目的は『部下の成長』です。
そうすると、叱る、褒めるを考える前に、
“部下の成長のために”必要な手段は何か?
どうしたら部下にあなたの意図が伝わるか(受け入れられるか)?
あなたがしようとしているアドバイスは本当に部下に必要なのか?
まず、そこを ” 見極める ” ことが先決です。
そこの見極めを面倒がって省いてしまって
手段に走ってしまっているように見えてしまいます。
ケースごとに褒める、叱るを決めておけるものなら、
決めておきたいというのもわかるのですが。
あくまで、今、部下を成長に導くには、
ここで褒めることだろうか
ここで叱ることだろうか
真剣に考えて、見極めていただきたいです。
褒める、叱るということに囚われないで、
どうしたら伝わるかなぁ、納得するかなぁ
という視点で考えることです。
目的は、あなたの指導によって、
部下の行動が変化することです。
お読みいただき、ありがとうございました。
つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗でした。