教えることが当たり前になる

第1050号

「上司にはなりたくありません。
部下を教えたりして、育てるのは
苦手です」

年に1回全社員と面談している社長が
そんな言葉を何人かの方から聞いた
といって、ショックを受けておられ
ました。

上司になったら、誰でも部下を
育てられるようになる、という
わけではありません。

育てられるようになるには、
段階があります。
——————————————–

どうやって部下を育てればよい
のか、わからないと
どうしても冒頭の社員の方の
ような意見が出てしまいがち
です。

部下育成が簡単ではないことは
会社も十分わかっているので、

管理職研修などで学んでもらおう
としますが、

それだけで、部下を育てられる
ようになるわけではありません。

部下を育てるために、
上手に教えられるようになるには
段階があります。

人が何かを習得するときは

『ホメオスタシスの壁』という

1.知らない

2.知っている

3.やってみる

4.わかる

5.できる

6.している

こうした順番があります。

「できる」「している」という
段階になると、習慣になって
くるので、

そこで初めて人に「教える」
ことができるようになるもの
です。

ちなみに研修では
「やってみる」という
段階まではもっていく
ことをゴールとしている
ことが多いものです。

習慣ですから、
無意識に適切に教えている、
というレベルに達するため
には

「やってみる」(経験)を
いかに積み重ねていくかが重要
です。

それには、ある程度の時間が
かかります。

研修等で「できる」状態になる
ことを社長が望んでしまうのは、

「やってみる」「わかる」=「できる」
と思ってしまっているからなんだと
思います。

1回やってみて、仕組みが理解
できればできるだろう、

とはいかないものです。

部下を育てる以前に、
育てられるような上司を育てる
ことも時間がかかる、
ということになるわけですが、

上司や管理職になる前から、
教える経験を積むことはでき
ます。

たとえば、
私は評価制度の評価基準に
「教えている」という項目を
入れています。

部下をもたない一般職のシート
にも、入れています。

1.できていない

2.少しできている

3.できている

4.言われなくてもできている
(あるいは、優れたやり方でできている)

5.周りに教えている
(あるいは、よい影響を与えている)

こうした5段階評価です。

少しでもこの1から5に上がる
過程を短縮できるように
すでに優れたやり方をみつけた
人のやり方を共有し、真似する、
という仕組みも取り入れてもいます。

優れたやり方で”できている”

その上位に”教えている”

ということを置いていることが
ポイントです。

人に教えられるようになって、
本当に身についている、とも
言えると思っているからです。

”教えることができる”上司が、
いなければ、部下は育ちません。

部下を育てるのは苦手です。と
言わなくてもよいように、

教えられる上司と教えられない
上司が生まれてしまわないために

教えることが当たり前の
環境を作ることが大切です。

まず量をこなし、
次に精度を上げる。

一般職のころから、行動量を
こなすことで、

だんだんやり方がわかって
くると、

「自分なりの」優れたやり方が
身に付く、と考えます。


どうぞ、
「やってみる」から先は
自分でやりなさい、という
ことがないように、

教えることが当たり前の上司を
会社が育てていきたいものです。

お読みいただきありがとうございました。
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