第1041号
年上部下を活かして組織の成果を出す
ことは、逃げられない、これからのマネ
ジメントです。
シニアだから、何か特別のマネジメント
の方法があるというわけではなく、
それぞれの働き方のなかで、どうやって
部下に成果を出してもらうか、に尽きる
と思います。
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こういうご相談を以前受けました。
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昇格して課長に任命されたA課長の部署
に、定年再雇用でとなりの部署からKさん
が異動してきました。
仕事はまじめで前向きですが、ちょっと
思い込みが強いところがあって、ミスも
目についたので、A課長がフォローして
います。
ただ、この課長の対応が不満のようで
周りにこぼしていることがわかりました。
いくら年上でも、上司として、ミスしない
よう指導するのが自分の役目だとA課長
は思っています。
Kさんもそこはわかっているはずなのに、
どうしてそんな態度をとるんだろうかと
悩んでいます。
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こういうことはどこでもある話だと
思います。
若手のマネジメントだけでも大変
なのにシニアまで。。。ということも
あるでしょう。
上司になりたがらない社員が多いのも
頷けます。
確かに今の上司は仕事が多くて、
そのうえに、と思うと、
つい面倒くさい、と思って
しまうこともあると思います。
ですが、労働力人口の減少に伴い
シニア層の活用は必須です。
定年年齢が70歳になる、というのも
遠い話ではありません。
2030年には職場のおよそ4人に
1人が60歳以上になるという推計
がすでにあります。
上司自身もいずれ、年上部下と
なります。
どうすればよいでしょう。
事例のなかで、指導という
言葉がありましたが、
シニアに指導は逆効果です。
「教える」よりも
「気づいてもらう」ことです。
その仕事ひとつを取れば、
単なる作業に見えても、
Kさんの仕事が組織の目標に
どのように連なっていて、
必要な仕事だとわかれば、
自己充足感が高まります。
だからこそ、A課長も指導したの
だと思うのですが、見方を変えて
みんなで目標を達成しようとして
いること(=目的)が理解される
ことが大切です。
指導より、気づいてもらうために
Kさんに意見を求めて、尊重した
うえで
フォローでなく、一定の権限を委譲
することだと思います。
「どうしてわかってくれないのだろう」
というA課長の嘆きも、
人と人はそもそも違うので、
わかってくれないことが前提です。
相手に変わってほしければ、
まず自分が変わること、
というのは
こういう場面においても同じ
です。
ミスをしないように注意する
のが自分の役目とA課長が
思っているのは、
上司としての責任感だと
思います。
部下とはいえ、先輩に恥を
かかせられないという想い
もあると思います。
そこで、
どうしたらミスしないのだろう
と考え方を変えてみると、改善
すべき行動が見えてきます。
Kさんは思い込みが強い、とあり
ますので、何かこだわりがある
のかもしれません。
そのこだわりを尊重して認めた
うえで、
Kさんが、その”やり方”を守ることが
大切なことなのではなく、
その仕事に求められているものは
何かというのが共有できて、そこ
に目を向けてもらえれば、
やり方が変わって、ミスは減るの
だと思います。
あくまで、価値観を変えるのでなく、
やり方を変えることに気づいて
もらうことです。
それには、若手に限らず
部下との対話は重要です。
事例では、”対話”している
様子が見えてきません。
そういうときだけ、
「経験豊富なんだから
言わなくても気づくだろう」
とは思わないでください。
壁を作っているのは
案外上司なのかもしれません。
難しいことは承知していますが
「人」ではなく「行動」を
観るようにすることです。
シニアに限らず、
いきいきと活躍してもらえる
ような「働きがい」のある
職場環境を作ることは重要
です。
今のシニア層の価値観の
多くは
時代背景から、出世や、
バリバリ働くことだったかと
思います。
当然、自分が主役になること
が最上位で、
リーダーとして振る舞うことが、
いきいき働くこと、という時代
だったかと思います。
それを、いかにして
フォロー役に回るなかで
感じられるか、
支援や補佐するなかにも
働きがいはある、と気づいて
もらうことだと思います。
リーダー像も多様化しています。
ただ、
「仕事は若手に任せて、自分は
後輩のサポートだけさせてもらうよ」
というのが後ろ向きの保身にならない
ように
「戦力的雇用の観点」で
シニア活用を捉えなおして、
仕事を任せることで
自主的かつ自律的に
働きがいをみつけてもらえる
ようにすることだと思います。
面倒なシニアにならないように
あるいは作らないために、
たとえば、報告が遅いなら
こちらから ” 聞きにいく ”ような、
どんどん上司から関わっていく
ことだと思います。
お読みいただきありがとうございました。
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