副業・兼業(多様な働き方)を受け入れる会社

第1023号

2018年、厚生労働省が「副業・兼業の促進
に関するガイドライン」をまとめ、
「モデル就業規則」から副業禁止規定が
削除され、
多くの企業でも副業容認の方向へ舵を
切り、条文の変更をしたと思います。

そうして現在、副業・兼業を実際に
容認する企業は増えて、送り出す側の
ルールの整備は進んでいると思うのですが、

その人材を受け入れる側の体制の
整備はあまり進んでいないように
思います。
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収入を増やしたいという働く側の要望
と労働力不足に悩む企業側の要望が
合致して、

関与先でも兼業で働く人を受け入れ
るための相談を受ける機会が出てき
ました。

ただ、雇用という形態で受け入れる
(雇用型)場合、企業の障壁になって
いることに割増賃金があります。

いわゆる本業の会社で正社員として
1日8時間働けば、その後、異なる
事業場で働いても、

労働時間は通算されて、割増賃金の
対象となってしまうことが、

雇用型の副業・兼業の普及を阻害
しているという意見もあって、

今年閣議決定された
『成長戦略2024年改訂版』※P8 5参照
副業・兼業における割増賃金支払い
に係る労働時間通算の見直しが盛り
込まれ、これから検討して結論が
出される予定です。

もちろん、割増賃金について見直し
されたとしても、それによって
過重労働にならないように、歯止め
の対策が組まれることは必至です。

副業・兼業の働き方には、雇用型
以外にも業務委託という働き方も
あります。

最近耳にする働き方として

・スポットワーカー(アルバイト的イメージ)→雇用型

・ギグワ-カー(プラットフォーム事業者を介して仕事を受ける対面型の
働き方でフードデリバリーなど)→業務委託

・フリーランス(自身の経験 や知識、スキルを活用して収入を得る者)
→業務委託

※ギグワーカーはフリーランスの中のひとつの形態とも言えます。

本業(先の契約)が雇用の形態で
働いていて、

副業・兼業(後の契約)先で
どういう働き方をするかによって、
労務管理は変わってきます。

受け入れ側の企業としては、
採用募集する時点で、どういう
働き方の人材を求めるのか、

ある意味、正社員募集時以上に
明確にしておかないと、人材を
活かせないと思います。

中小企業の場合、もちろん高いスキル
を一時的に提供してほしい、という
利用の仕方もあるかもしれませんが、

定型的な業務や単純作業など、
専門的なスキルや経験を必要と
しない業務の人員不足に悩む
企業が多いことも否めません。

そうすると、仕事に指示命令する
ことができない業務委託ではなく、
どうしても雇用型ということになります。

現時点では、労働時間は通算さ
れるというルールがあるので、
36協定、割増賃金、労災のときの
対応など、

受け入れる前に想定しておかなければ
ならないことが多くなります。

それを踏まえたうえで、
受け入れるわけですから、

・どんな人材を受け入れるのか
・受け入れる人材の幅をどこまで広げるのか

という最初の検討が大切になります。

中小企業とすれば、
労務管理の負担を軽減するため
には

最初は、複数の事業場で通算して
労働時間が1日8時間を超えない
ような非正規の雇用から始めてみる
のがよいようにも思います。

いわゆる、スポットワーカーです。

実際、状況を詳しく尋ねると
年間通じて人手不足でなく、
デジタル技術の進化もあって
繁忙期のみの補充でよい、という
場合も少なくありません。

後々のトラブル、行き違いを
防ぐためにも、

雇用型なのか業務委託なのか、

そして、採用してから任せる仕事を考える、
ではなく

慎重に、任せる仕事も最初に
吟味しておきたいものです。

「成長」をベースに考える
正社員の採用とは別ものだからこそ、
条件設定が重要です。

11月から「フリーランス新法」が
スタートします。

ますます実際の現場で、多様な
働き方が求められるなか、

後手にまわって振り回されること
なく、自社の軸足を固めて
必要な方法を柔軟に取り入れて
いただきたいと思います。

そして、すべての人材を活かし
きるために

遠回りに感じるかもしれませんが

経営側は、もっと人事に
「こういう人材が欲しい」
「こういう組織を作りたい」

ということを伝えていき

人事は、もっと経営側に、
「どういう人材が必要なのか」
「どんな組織にしたいのか」

あきらめずに何度も聞いて
いくことで、

自社に合った答えが出てくる
ものだと思います。

お読みいただきありがとうございました。
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