人を観れるか観れないかでチームの成果は変わる

第995号

ブログと同じ内容のメルマガを今は
平日の火曜と木曜にお送りしているのですが、

だいたい前日に8割程度仕上げるように
しています。

夜10時くらいは、集中してパソコンに
向かっているはずなのですが、4月からは、
いったんパソコンを閉じて観ている
ドラマがあります。

「アンメット-ある脳外科医の日記-」

関西テレビ制作のこのドラマの主人公は
事故で脳に障害が残り、

今日の記憶が明日にはリセットして
しまうという現実を抱えながら、
脳外科医を続けています。

作者が元脳外科医ということが、
実際にはないだろう、と思える
話にリアリティをもたらします。

他の登場人物も、それぞれに葛藤
を抱えているようです。

今週取り上げられた話は、看護師長
の「安全」へのこだわりと、そこに
至る心情が描かれていました。

安全に妥協しないことは大切なこと
ですが、そこに固執するあまり、
看護師長は、「人」を観ないで
ルールありきになってしまって
いるのが、
かえって組織としての危うさに
なってしまいました。

ルールや価値観で相手をコントロール
してしまうということは、
現実の世界では、よくあることです。
———————————————-

看護師長は医療安全室長として
患者の受け入れ時の復唱確認や、
パソコンから離れるときはログアウト
する等、

非常に細かいところまで厳しく
医師や看護師を観察し、接して
います。

でも、これは『U理論』でいうと
「観ている」けれど、「観ていない」
ということになります。

組織が変わっていくときのプロセス
を図にすると

文字のUのように変革していきます。

これを『U理論』というわけですが、

上記の図の矢印が下向きにいった
場合は成果がでます。

そのプロセスは、

「保留」:いったん自分の心の中に浮かんだ考えや、
正誤、善悪の判断を保留して、

「観る」:起こっている状況をフラットに観る

「感じ取る」:相手の意図を汲もうとする

「プレゼンシング」:いったん自分の主義主張、
価値観を手放すことで、今まで見えていなかった
とが見えてくる感じ

「結晶化」:自分のなかで湧きあがってきたもの
をイメージ化して感覚を言葉にしていきます

「プロトタイピング」:自分のなかで湧きあがって
きたものを更に意味づけしていきます。

「実践」:自分のなかで進化のために、どのように
動けばよいか、繋がればよいか、腹落ちした状態

こうしたプロセスを経て、再現性の
ある成果が生まれていきます。

非常に抽象的な表現も多く、過去
に経験したことがないプロセスを
経ていくために、

実際にも、実現までは難しい道のり
があります。

でも、その第一歩は
「保留」して「観る」ことができる
か、どうかです。

Uの逆の形
すなわち、上記の図でいうと
上にいった場合

行き着く先は進化の逆、
『破壊』です。

その分かれ目も、
「保留」して「観る」こと
ができるか、どうかです。

人はだれしも最初は、
自分の頭の中に繰り広げられる世界
(過去の枠組み)のなかで、思考した
り意見を持ちます。

結論や判断を下さず、まず
「観る」ことができるかどうか
が肝心です。

ドラマでは
看護師長の過去の医療事故の苦い
経験が、自分のなかの安全に対す
る考えだけが正しさとなり、

それ以外は、受け容れないと
いう姿勢が

日常の現場の閉塞感を生んで
しまい

そこに不注意が重なったとき、

患者の命が危険にさらされて
しまうことになりました。

U理論で表現すると

「観ない」:自分は正しい

「感知しない」:自分の意見を通すことに
固執して、相手がどう思っているのか感じ
られない

「不在化・傲慢」:どうして言っていること
ができないのかわからない。

「自己欺瞞」:どう考えても、私は間違っていない!
悪いのはあなただ

「棄てる」:いくら話しても無駄

「破壊」

こうして他者の否定と拒絶を繰り
返していると、

相手側もわかってもらえない感覚
が募り、こちらの意見を否定する
ようになります。

声に出して反発するだけが否定で
はありません。

「言ったことは素直に聞くけれど
やらないんだよねぇ」という状況
も同様です。

Uは、下に行くより、案外簡単に
上にあがり、破壊まで進んでしま
うものです。

看護師長も日々、
Uの上に行きがちでした。

それでも、看護師がミスをして
患者の命が危険な状態になった
とき

まずは患者を助けることが第一、
として部下を責めませんでした。

「不在化・傲慢」の手前で気づく
ことができれば

実は、下向きに戻ることができます。

ここを越えると、戻るのは難しい
とされています。

ここを境に、すべてを他責にして
いくからです。

看護師長は、命が危険な状態に
なった患者を手術室に運ぶ際、

ドアが電気の不具合で開かなく
なった時、

とっさに、医師や看護師達がドア
に身体をぶつけて、必死で突き
破ろうとする姿を見て、

自分だけでなく、皆が患者を救い
たいという想いと、自分が安全に
こだわる先にある患者の命を守る、
という目的は同じなんだという
ことに気づいて

Uの下に戻ってくることができ
ました。

「観て」「感じ取る」ことができたん
だと思います。

必ずしも、上司の方は、自分の価値観
を保留にしなければならない、
というわけではありません。

上司の価値観をマニュアルや
ルールに落とし込めば、短期的
には、その通りに行動できる人
もなかにはいるからです。

ですが、組織としての成果を出す
ことが最優先で、

良好な人間関係も築いていきたい、
ということであれば、

いったん自分の価値観を保留にして、

人を観て、人の話は聴けたほうが

組織としての成果はやはりでる、
と言えると思います。

お読みいただきありがとうございました。
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