第992号
先日訪問した会社は、評価制度だけ
先に導入し、2年後に賃金制度を
作りたいということでした。
人事評価制度を評価と賃金に分け
て導入することは会社の考えしだ
いです。
ただ、どうして評価制度だけ先に
作るのか。
賃金制度は後から作らなければ
ならないのか。
その理由は、重要です。
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評価だけでなく、賃金だけ先に
作るということもあり得ると
思います。
私もそういう作り方をすること
について、
「それってどうなんでしょう」
という質問を受けることがあり
ます。
仮に賃金制度だけ作ったと
して、
社員への説明時に、
この賃金はどうやって決まっ
たのか、説明できなければ、
賃金制度を導入する意味が
なくなります。
やはり、作るなら、
評価制度→賃金制度という
順番だと思います。
先日訪問した会社のように、
作成支援した会社のなかには
実際に、評価制度だけ先に
導入して、後から賃金制度を
導入した会社もあります。
上司が評価制度をしっかり
理解して、その評価が部下
に信頼してもらえるようにな
ってから、
処遇に反映させたい、
と、おっしゃいます。
その意図はよくわかります。
ただ、
部下が上司を信頼して
いないのは評価だけでしょうか。
たとえば
「普段同じ場所で仕事して
いない上司に評価できるのか」
「今まで評価してこなかったのに
急に、上司に評価できるのか」
これらの言葉は、
導入しようとしている
「人事評価制度」への不満でしょうか。
「人事評価制度」を違う単語
に置き替えてみても、違和感
なく同じように、不満の言葉
になるのなら、
それはつまり、
「人事評価制度」への不満では
ありません。
上司への不満だと思います。
なかには、
「上司と部下がうまくいっていないから
評価制度を通じて、評価する
だけでなく、コミュニケーションを
よくしてほしい」
こんな評価制度への期待をおっ
しゃる会社もあります。
評価の話を介して
上司と部下が話し合えばコミュ
ニケーションがよくなって、
信頼が高まる。
”ない”とは言い切りませんが、
信頼関係のない上司の話を
ちゃんと聞くことができるのか、
どうかが疑問です。
それなら、最初から、信頼関係
のある上司が評価することに、
越したことはありません。
現実には、上司を育てること
は、一朝一夕ではありません。
管理職研修1回やった程度
では、知識や理解は深まって
も、実践までの道のりは時間が
かかります。
ではどうするのか、というと、
まずはいったん、上司が
自信をもって評価できる
=観察できる業務範囲
として、
範囲をしぼった評価項目に
して、その中で評価を行い、
同時に、信頼関係も築いて
いくということです。
信頼関係を築く方法として
は、評価期間中に適宜行う
部下面談があります。
取り入れられている例として
は、今なら、1on1面談がよく
知られています。
面談について整理しておくと、
期中面談:(目的)ギャップをなくす
評価面談:(目的)評価の結果を伝える
面談やっていますよ、と会社が
おっしゃるのは、評価面談のこと
だったりします。
でも、信頼関係を築くためには
期中面談が大切です。
このように伝えると、
経営者の方から返ってくる
言葉が、
「評価面談の時間を作るだけ
でも大変で、これ以上は無理です」
会社の状況もわかりますが、
それなら、評価はあきらめますか?
コロナのなか、窓を全部開けて
部下の評価を決定する会議を
していた会社
屋外で、立ちながら短時間の部下
面談を毎月続けていた会社
これらの会社にとって、コロナは
評価を中止する理由になりません
でした。
会社ごとに事情は違うとは思い
ます。
やるか、やらないか、決めるのは
もちろん会社ですが、
どうしたら、時間が作れるのか?
これをみんなで話し合うことを
始めてみると、
実は、その時点ですでに、
信頼関係築くスタートラインに
ついています。
お読みいただきありがとうございました。
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