第989号
4月から『笑点』に新メンバーが加わり
ました。
ちなみに『笑点』とは日曜の夕方に
放送されている50年以上続く落語の
大喜利番組です。
今回はいよいよ女性が起用される
かと言われていましたが、
新メンバーは立川晴の輔さんでした。
木久扇さんの86歳から51歳へ、
若返りと言えば若返りましたが、
晴の輔さんはすでに達者なしゃ
べりで、年齢もメンバーの真ん中
あたり。
笑点の空気をこの機会に一新する
には女性の起用、と勝手に思って
いましたが、
多様性の視点で言うなら
晴の輔さんが参加することで
東京の落語の4つの団体に所属
する落語家が揃うという、
『笑点』史上初めてのメンバー
構成となったことは
これまでのしがらみやいきさつ
を超えた誰にとってもチャンス
が生まれる、
まずは「場づくり」から、
ということなのかもしれません。
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私のように
「女性ではなかったのか」
と残念がっているようでは
いつまでも「人」だけに頼った
変化を求めることになり、
組織づくりとしては失敗して
しまいます。
ただ、現実の職場では、
管理職に占める女性の割合は13%
性別は多様性を阻む大きな視点
であることを考えると、まだまだ
世の中の流れに、企業は追いつい
ていません。
ポジティブアクションという言葉
があって、
固定的な性別による男女の役割
分担意識や過去の経緯から、格差
が男女労働者の間に生じている場合
に、
このような差を解消しようと、
個々の企業が行う自主的かつ積極的
な取組みをすることをいいます。
たとえば、従業員数が301人以上の
事業主においては、
男女による賃金格差を是正するため、
2022年から男女賃金差異についての
情報が公表義務となりました。
ですから、男子が平均3%の昇給比率
だとして、女性は5%としたとき
この優遇措置は均等法違反とはなり
ません。
あまりにも差があって、低い数字を
上げるためには、このような分かり
やすく効果が出る方法は当分の間、
必要だと思います。
ところで、女性は皆、この女性活躍
を後押しするような法律であったり
女性を優遇するような措置に好意的
かと言えば、
頑張って管理職の道を切り開いて
きた女性のなかには、
女性にもやる気がある人とない人と
様々いることを背景として
性別に関係なく、能力で選ぶべきだ
という意見も多いものです。
確かにその通りですが、
能力で選ぶというのは、
時間を気にしないで働ける人
私生活より会社を優先できる人
少し前には普通とされていた
これらの価値観が前提となった
うえでの発揮能力であって
その前提にたった土俵には、
たとえ能力があっても、それ以前
に女性が土俵に上がることが難し
いとされてきた現実もあります。
それが今もシステムとして
あるいは評価者エラーとして
どこかに残っていて、
今、女子が管理職になりたがら
ない理由として挙げている上位の
責任が重くなる
残業が増える
能力を語る以前の、
これらが大きな障壁となって
います。
ただ、このなりたがらない理由が、
決して女性に限ったことではなく
なったのが、時代の変化です。
性別だけでなく、誰にとっても
働きやすい職場となることが
結果として、
女性の管理職比率を
“継続的に”上げていくことに
つながります。
企業における人材開発・組織開発
について研究して、著作も多い
立教大学の中原淳教授は
『女性の視点で見直す人材育成』
という著作のなかで
誤解を恐れず言えば、男性中心文化
が、いまだ支配的な日本の職場にお
いて、女性には“最もメジャーな
マイノリティ”としての側面があります。
これは、女性が育児休業を取れる
会社は、男性にとっても働きやすい
と、応募者が判断基準としてチェック
していると言われていることにも
通じるものです。
誰にとっても働きやすいと思って
もらえる職場を作ろうとして、
時間単位の有休取得を認めたり
時短勤務を認めたり
在宅勤務を制度化したり
週4日勤務を導入したり
これらの制度づくりに着手する
ことはよいことです。
では、それらを導入すれば
管理職になりたいと思う職場に
変わるかと言えば、
「仕組み」の導入だけでは
上手くいきません。
これらの制度を導入すれば
必然的に対面する機会が減り
コミュニケーションは
取りづらくなります。
今の仕事の進め方を新しい
仕組みの運用を進められる
ように変えなければ、
働きやすい職場にすると業務
効率が落ちる、ということに
なりかねません。
業務効率が落ちるのは、
仕組みを使うのが
『人』だということです。
人も一緒に変わらなければ
仕組みを上手く使いこなせ
ません。
「人」だけでも
「仕組み」だけでも
「関係性」だけでも
組織は変わらない、
ということです。
そのすべてが、繋がってできる
のが成果を出せる組織です。
「大変でもやりがいのある仕事を
すること」を希望する女性は多い
ものです。
女性一人ひとりのがんばりに
頼るのでなく、
女性のこういう気持ちに応えられる
”職場を育てる”ことが、
今、誰からも、求められているんだ
と思います。
お読みいただきありがとうございました。
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