視座は高めるだけではありません

第982号

春からの社員研修のテーマについて
先日面談した社長お二人から
「視座」という言葉が出てきました。

お気持ちとしては
自分と同じ視点で考えてほしい
とまでは言わないけれど、

今より知識、見聞を広めて
少しでも視座を上げて
成長してほしいとおっしゃい
ます。

視座を上げることは大切だと
私も思いますが、

同じ視座で言うなら
見えないものを見ようとする
『視座の転換』という考え方も
あるのではないかと思っています。
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なかなか自分の言うことが伝わら
ない社長としては、少しでも視座を
引き上げられたら、

見える景色が広がって、自分が何を
伝えたいのか、少しは伝わりやすく
なるのではないか、
と思っておられます。

視座とは
『どの立場で物事を見るか』という
ものです。

どこから見るか、という
言い方もします。

建物で言うなら
何階から景色を見ているかに
よって、景色が違うという
ことに、よく例えられます。

若手社員がいる1階と社長が
いる3階では、確かに景色が
違います。

実際、視座を高めることが
できれば
物事を俯瞰でとらえられ、

総合的な判断を下すことが
できるようになります。

それでも、
人と人は違います。

社長が思う、視座が上がった
という言葉には
多分に、自分と同じような
考え方をしてくれる
という願望が感じられた
のですが、

それには1階から3階まで
まず上がることが必要で、

それでもやっぱり、経験や
立ち位置が違うのですから、

3階に上がっただけでは、
わかる、というわけには
いきません。

同じ景色を見ながら
話し合って、そこから
やっとわかり合えるか
どうかです。

時間はかかります。

発達心理学のなかの
「成人発達理論」では

「自分よりも上の意識段階
を理解できない」

とされていることからも、
容易ではありません。

そもそも、階段を上がりたいと
思うかどうかも、わかりません。

そうであるなら
視座は高くするだけでなく
変えることによって

見えないものを見えるように
なることはできます。

これが「視座の転換」です。

視座とは
『どの立場で物事を見るか』
と書きましたが、

立場が違う人はどのように
考えるのかをイメージしてみたり、
実際に話を聞いたりすることで
解釈の幅は大きく広がります。

真上、真横、斜め上、という
ように

“どこから見るか” を意識
して『変えてみる』ことで、

見えていなかったものを
想像することができます。

メルマガでも組織づくりの
事例として時々登場している
ルービックキューブは

見えない裏の3面を意識しな
がら面を揃えていかないと
6面完成しません。

これと同じだと思います。

ところで、視座が転換すれば、
相手の意図を感じ取れるように
なる、

というのは、『U理論』のなか
の考え方です。

U理論を簡単に言うと

人の意識に焦点をあてて
意識が変わることで
現実の結果が変わってくる
プロセスを説明したものです。

(図の上側の半円になると人間関係は壊れてしまいます)。

その第一歩が
起こっている状況を
”よく観る”ということです。

そこには

「どこから見るか」も
含まれます。

同様に、視野を広げると
いう言葉がありますが、

これは「どこまで見るか」
という『範囲』を指して
います。

よって、見えないところ
までは広げません。

視座を高めなくてよい。
視野を広げなくてよい。

ということではなくて、

U理論のプロセスの最後は
実践となっていることからも
言えるように、

しっかり納得して行動できる
ためには、

まずは自分の見えないところ
を見ようとするところから
始めて

そして、自分を知ることで
自分と違う人を理解すること
ができるようになることが
大切なんだと思います。

お読みいただきありがとうございました。
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