第979号
人事と課題について話しているときの
熱量のまま社長と面談すると、社長は
案外「そのことは問題視していない」
ということがあります。
経営戦略と人事の課題が、つなが
っていないと、このような温度差が
出てしまいます。
人事が優先しているのは
法令遵守だったり、
社員間の平等や公平性を意識して
いると思います。
もっともなことだと思いますが
実際の経営(戦略)では、
少なくとも短期的には、社員間、
部署間において平等とは言えない
ことも起こります。
ここで経営と人事で綱引きが起こる
と、目指すところは同じであっても
その乖離が、経営戦略の推進を
阻んでしまいます。
————————————————-
社長の意をくんで動いているので
経営戦略に盾突くようなことは
ないはず、と思うかもしれません。
確かに人事が抱える課題
・ハラスメントが減らない
・シニアのモチベーションが上がらない
・離職が多い
・人の採用ができない
これらが課題ではないとは
社長も思っていませんが、
経営戦略を実行するうえで
取り組むことの最上位かと
いうと、
そうではない、という場合
経営戦略と人事戦略はつながって
いない、ということになります。
それでも、これまでは
少々違う方向を向いていても、
社長が人事に経営戦略を説明して
いなくても
人事の戦略が、即座に経営に
影響を及ぼすということは
なかったように思います。
人が育つには時間が
かかるという前提がありました。
働き方改革
人的資本経営
リスキリング
2024年問題
これらが新聞の1面で
取り上げられ
経営戦略の一環として
語られています。
今は、人事戦略が経営の
成果と長期的でなくても、
短期的にもつながって
いることを、意識せざるを
得ません。
組織を挙げて、全体最適を目指せば
よいのですが、
どうしても目の前にある
問題に引きずられてしまいます。
・ハラスメントを減らす
・シニアのモチベーションを上げる
・離職を減らす
・人を採用する
こうして、課題を解決した先に
何があるのか?
それが経営戦略とつながって
いるのか、
ここを考えなければ局面打開は
できても、全面突破はできないと
思います。
経営も人事も目指すところ
は同じはずです。
でも、そのゴールを共有できて
いないと
人事に限らず、各部門は
つい、それぞれの価値観で
目の前の問題解決に走り出
してしまうことになります。
そうやって今日の課題を解決
しても
1年後、また繰り返すという
ジレンマです。
「こんなとき他社はどうして
いるのでしょう」
これはよく聞かれる質問ですが
事例をお伝えはしますが、
「答えは、会社の中にしかありません」
とも付け加えています。
いわゆる世の中のトレンドを
意識しすぎると、
経営戦略とますます乖離して
しまいます。
人事評価制度も同じです。
作り始める最初は
皆さん、他社の事例を知りたいと
おっしゃいます。
それで他社の評価シートをお見せ
すると
結局「ふ~ん」となるだけです。
経営戦略と人事戦略を繋げるには
どうすればよいでしょう。
人事が、社員間の平等や、
いわゆる“正しさ”の前に
社長は「何がやりたいのか」を伝え
人事は、社長と
今のままなら1年後どうなるのか
2年後どうなるのか
3年後どうなるのか
「このままでいいのか」
「そうじゃないのか」
「そうじゃないならどうなりたいのか」
ここを丁寧に共有しあうことだと
思います。
そうでないと
人事は自分たちの「正しさ」を
手放せません。
人事の方が
「あやふやでも、社長が何か
思っていることを言ってくれれば
なんとなくわかりますから」
とにかく、言ってほしいと
言っておられました。
人事も経営戦略とつながって
成果を出したいと思っています。
コミュニケーションで大切な
ことは、
・自分を正確に伝えようとすること
・相手が言っていることを相手の
思いに即して理解すること
お互い、歩み寄りの精神と
納得のいく結論を出そうとする
気持ちで表現し合えば、
経営戦略に紐づけられた
人事戦略が生まれます。
お読みいただきありがとうございました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
このブログを編集して、
メルマガを平日2回お届けしています。
ご希望の方は、 下記フォームよりご登録ください。