評価シートの行動目標は「四球」の数

第978号

メジャーリーグ情報が毎日のように
聞こえてきますが、

日本でもプロ野球のオープン戦が
始まっています。

セリーグの横浜DeNAベイスターズ
の石井琢朗コーチは

今年から走塁コーチも兼任することに
なり、「走塁」への意識づけを徹底
するという改革に取り組むようです。

それが、このチームの勝つ確率が
高くなる、という判断なのでしょう。

広島のコーチ時代、

選手に、
「打率を上げるよりも出塁率を上げる
ことを意識しろ」と言っていました。

「好機でいかに打つか」よりも、
「好機を数多く作ろう」
ということだと言います。

打率と出塁率、どちらがいいとか、
悪いということではなく

勝つために何が一番優先されるか
それをどう伝えるか と考えたとき

「出塁率」を意識させることで、
ペナントレースの目的「優勝」を、
より意識させようとしたのかも
しれません。

この出塁率を「四球」に置き替えて
球団の選手査定まで変更して
意識改革で得点力アップに成功した
のが、昨年優勝した阪神です。

目的達成のために、
何が一番優先されて、それを
どう伝えるか、というのは
評価制度でも大切なことだと
思います。
——————————————————–

広島時代の石井琢朗コーチの
インタビューでの言葉より——————–

点を取るには、ヒットを打つことより、
まず塁に出ることが大切です。
四球でもエラーでも塁に出れば、
いろんな作戦が使えるし、
相手バッテリーにもプレッシャーをかけ
られる。
打率3割、出塁率3割よりも、打率
2割5分、出塁率3割5分のほうが、
チームにとっては勝つ確率が高くなる
んですから」

———————————————————-

という意図のようです。

ちなみに打率、出塁率は
打率 = 安打数÷打数
出塁率 =(安打数+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)

算出方法は一般社団法人日本野球機構より
http://npb.jp/scoring/calculation.html

昨年、阪神タイガースは
出塁率を、より具体的に
「四球」を選ぶことを
意識させることで、

ホームラン数は
リーグの下から2番目に低い本数
でも、総得点はリーグトップに
導きました。

これが球団によっては
出塁率より打率、

四球よりホームランを
優先させてもよいわけです。

勝つために何が一番優先されるか
あるいはどうやって勝ちにいくのか。
何よりそれをどう伝えるか、
ということが大切なんだとおもいます。

「打て」と言われるより
「(塁に)出ろ」と言われるほうが
”なんとかしよう”と考えます。

選択肢が広がります。

「塁に出る」という行動につながる
「やり方」は人それぞれです。

高校野球を見ていても
負けているチームの攻撃場面で
「9回、ノーアウトからランナーが出ました」

という実況があるように、

まずはヒットで塁に出ることが
良しとされていることが根底に
あります。

いずれも

「好機を数多く作れば
それだけチャンスが広がる」
という考え方です。

ただ、高校野球の場合は
セオリーとしては
ノーアウトで塁に出れば
バントで送ります。

まだ知識、経験が乏しいときは
「やり方」まで絞ってあげる
ほうが、集中力が増すのでは
ないか、

と考えているのではないか
という私見です。

いかに行動に移しやすいか、

それが行動してほしい相手に
伝わりやすいか、

ということが第一だと思うからです。

人事評価の評価項目は
業績(あるいは粗利等)向上
という成果を出す為に

優先して行う行動目標を
掲げて、

それができたか、
できていないか

という視点で評価する
行動基準の評価制度が

中小企業でも広まっている
ように感じています。

それは例えば

「粗利を稼ぎなさい」
という大きな目標を
掲げるだけでなく

そのために必要な
行動プロセスを

例えば、

・製品のロスを〇〇まで減らす
・客先との打合せ回数は〇〇回以内で完結
・一人あたり商品単価を〇円以上にする

等々

より動き出しやすい身近な目標に
落とし込みます。

その前提として
自分たちの目標の先にある会社の
目標
(社員自身の目標からみると
その先にある目的を指します)

を、皆で共有できていることが
大切です。

この行動プロセスを
行動目標と呼ぶなら

行動目標を達成するためには
どう行動すればよいのか、
ということもあります。

ここは基本的に、各人が考える
ことが大切です。

「出塁」するにしても、
どうやって出塁するのか

「四球」は何球目から
四球を選ぶと、切り替えるのか等

基本、サインが出てなければ
選手それぞれの考え方次第です。

塁に出たあと、
盗塁するのか、打者と協力して
ヒットエンドランで進塁するのか

それぞれの強みの活かし方次第
ということでもあります。

石井コーチも
「打撃は良くて3割。それ以外の7割で
いかに点を取ることができるか」
と言っています。

行動目標達成のために
皆がそれぞれに考えて、

達成のための行動ができる
ようになれば

評価項目に書かれた行動が
「できている」
という以上の「再現性」と
いう成功体験を手にすること
ができます。

経験して学び、その学びを
次に活かすことができる
「経験学習」の考え方です。

もちろん、高校野球が、
あえて、やり方のセオリー
としてバントがあるように

経験年数が少ない社員には
「やり方」の助言、指導も
必要な場合もあると思います。

上司は、
結果を出せというかわりに

結果を出せる環境、状況を
作り出していくことができれば

おのずと結果につながるもの
だと思います。

つながるように、評価制度は
作らなければならないものだ
とも思います。

今の野球は、四球にしろ、走塁
にしろ

それと打撃がうまくかみ合って
つながらないと競り勝っていけ
ません。

つないでいくという意識は
チームで成果を上げると考える、
組織づくりも同じです。

評価制度は個人の評価では
ありますが

その先にある会社の目的を
達成することが第一である
ことを

業績連動の賞与にしたり
評価シートのなかに会社や
部署目標を落とし込んで、
連動させておかないと

会社が一番に求めている成果
と、個人の行動評価が
つながっていることが、
うまく伝わらないと思います。

お読みいただきありがとうございました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
このブログを編集して、
メルマガを平日2回お届けしています。
ご希望の方は、 下記フォームよりご登録ください。


メルマガ申し込み
 

関連記事

コメントは利用できません。