第965号
「業績が上がり粗利が増えれば、
社員の皆さんの賃金も上がります。
利益が増えれば、原資が増えて、
その分配はこういう比率で行います」
社員説明会では、こういう賃金制度の
設計について社長が説明を行っています。
社員は自分の昇給や賞与がどうやって
決まるのか、上司に聞かなくても
知ることができる。
そんなメリットを伝えてきましたが、
昨年、今までの賃上げでは
消費者物価上昇率に追いつかない
ため
自社の賃金設計はいったん横に
置いて、多くの企業が4%の賃上げ
を決断しました。
今年もまた、物価上昇率を見ていると
昨年並みの賃上げが必要な状況です。
でも、賃上げって、経営者だけが
追い込まれて、考えることでは
ないと思います。
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賃金制度の説明では、こうも伝えて
います。
将来的には、自分の賃金は自分で
決めよう。と。
そのためには、
業績が上がる
→利益が増える
→賃金原資が増える
という流れを知り、業績向上を
自分ごとにする必要があります。
ですから、来年以降も物価の
上昇が続くなら、
社員の皆さんも巻き込んで
全員で考えていかないと
賃上げは簡単なことでは
ありません。
「全員で考える」とは、
制度を変えて、社員に説明する
だけでは伝わりません。
評価項目に会社の業績に連動
する数値目標を加えていても
不十分です。
昨年、4%までではない
にしても、いつも以上の率の
賃上げを決めた会社は、
会社の業績が上がる
→社員の賃金が上がる
という前提を覆して
原資は賃金上昇分に見合う
程度増えていないけれど
賃上げする。
という決断をした会社も多い
のではないかと思います。
他の経費を無理に減らして
一時的には賃上げを実現できても、
いつまで継続出来るかはわかりません。
そもそも利益の使い道は、
人件費だけではありません。
だからこそ、経営者の専権事項、
という部分ではあるにしても、
経営の覚悟と言うならば
賃金制度の設計通り、
会社の業績が上がる
→社員の賃金が上がる
その仕組みを実践することも
覚悟だと思います。
社員を信じて、目標を設定し、
業績を上げて賃金を増やすことを
一緒に考える仕組みを作ること
です。
社員が自ら考え、成長する
機会を与えなければ、
会社の業績が上がる
→社員の賃金が上がる
いつまでたっても
実現しません。
今までのやり方では
利益の増加が見通せないなら、
なおさらです。
大企業の事例ではありますが
昨年ユニクロが人件費を15%
上げたときは、
まだ高い利益率を維持できる
今のうちに、あえて先に
人件費15%増に踏み切って、
国内事業の生産性を向上
させて収益を確保する
という課題を、社内に
突き付けました。
まず経営者が覚悟をもって
人件費15%という目標を掲げ、
その実現のために
セルフレジやEC倉庫の
ロボットの導入。
店舗作業を軽減して
少人数でも運営できる
仕組みにしたり。
まず、「計画」と「準備」で
環境を整えました。
そうしたうえで、いかに
生産性を上げられるか、
その成長と可能性を信じて
社員を巻き込んで考えた結果が
今の生産性の高さにつながります。
原資は増えていないけれど
賃上げする。
という苦渋の決断も覚悟ですが、
賃上げ4%と決めたとき、それを
実現するためにはどういう目標を
たてれば実現できるのか
経営者と社員で一緒に考えて、
実行する社員の成長を信じて
見守る。
社員の成長を信じる覚悟というのも、
あるのではないかと思います。
株式会社ワークマンの
土屋専務取締役の言葉で
「社員が育たなかったら育つまで待つ」
「社員の能力の限界が会社の成長の限界でいい」
というのがあります。
これって、社員の成長なくして
会社の成長はない、ということ
なんだと読み替えれば、
賃上げについてどう実現するか、
おのずとやるべきことは見えてきて
社員を巻き込まない手はないと思います。
お読みいただきありがとうございました。
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