後継者がいないと嘆く前に

第954号

大河ドラマ「どうする家康」で、
家康が秀忠を後継者に指名する
場面が描かれていました。

ドラマでは、
秀忠は自分より才能がある兄の
結城秀康でなく、自分が指名され
たことに悩むのですが、

その時、家臣の本多正信は

「人並みの者が受け継いでいける
お家こそ、長続きいたしまする。」

と言い

秀忠も「確かにそうじゃ」と
ポジティブに受けていました。

どこまでが史実かはわかりませんが、
結果として徳川は15代まで続くことに
なります。

後継者を育てるということも大切
ですが、誰でも、といっては言い過ぎ
かもしれませんが、

誰がトップにたっても、代わっても、
継続する組織の仕組みを作ることが、
大切ではないかと思います。
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後継者がいない、と困っておられる
経営者の方のお話を聞いていると

それは、いないのではなくて
社内の後継者候補はいるのだけれど
その実力に満足できていない、
ということなんだと思うことがあります。

ご自身と比較して、劣っている
というわけでもないのだけれど、

「ちょっと違うなぁ」と
いう感じになるようです。

この「ちょっと違うなぁ」というのは
自分が実践してきた経営者像と
比べて、ということだと思います。

たとえ近くにいて帝王学を学んでも
自分とまったく同じというふうには
なりません。

ビジョンにどれだけ共感し、
同じ考えの部分が重なっているか、

違いでなく、重なっている
部分を見ることが大切です。

「あなたの好きなように
やりなさい」と後継者に
おっしゃる方もいますが、

すでに経営者のやりやすい
形になっている組織を、
トップが変わったからと
いって変えるのは、

今までのやり方になじんだ
社員との軋轢も生みます。

それが創業者で、求心力、
カリスマ性が高ければ高いほど
うまくいきません。

どうしても、組織は、現経営者に
とっての『最適な組織』になっています。

それが後継者にとって最適かどうかは
別物だということです。

大河ドラマの本多正信は
「才ある将が1代で国を栄えさせ、その1代で滅ぶ。
我らはそれを、嫌というほど見て参りました」
と言います。

だから、人並みの者が受け継いで
いけるお家こそ、長続きする
という考えなのですが、

人並みの者が 受け継いでいける

そのためには、
組織を経営者に合わせて作る
のでなく、

誰がやっても上手くいく状態や、
そういう仕組みを作ることです。

言い換えれば、

人に合わせるのでなく
ビジョンに従って組織づくり
することだと思います。

その一例に評価制度があります。

今は社長の頭の中にある評価の基準で
評価をしていて、社員から評価に
ついて聞かれたことに説明できる
かもしれません。

同じことを後継者がやろうとしても
できないし、やっても納得は得られ
ません。

実際「何も指標がなければ、後継者が
評価できないから、このタイミングで
評価制度を作ろうと思いました」

と言ってお声がけをいただくことも
あります。

単に、社長の頭の中にあることを
可視化するというだけでは、
後継者にとってはその評価は
他人事です。

自分の考えとは違うという反発も
あります。

そんなとき、共通の拠り所が
「それをやればビジョンは実現するか」

これを問いかけながら、
誰にとっても
わかる
納得できる
組織の仕組み、ルールとした時点で、

社長のものから、会社の
評価制度になります。

もちろん、仕組みが万能という
わけではありません。

人並みの者が受け継いでいけるお家
=組織の仕組みを作った

としても、

社長の役割までは仕組みには
できません。

ドラマの中で家康が秀忠に

「上に立つ者の役目は、
いかに理不尽なことがあろうと、
結果において、責めを負うことじゃ」

と言って、帝王学を伝授していたように

社長しかできない役割を伝える
ことは、後継者育成で重要なことに
変わりはないと思います。

お読みいただきありがとうございました。
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