スタメンは固定するのか、しないのか、でもその前に

第937号

今年はスポーツの大きな大会が
途切れなく開催されています。

そんななか、プロ野球もリーグ優勝が
決まりました。

野球に興味がない方は申し訳
ございません。

私の印象としては、

セ・リーグは、スタメンを固定した阪神。

パ・リーグは、スタメンを固定しなかったオリックス。

乱暴な分け方かもしれませんが、
選手は固定するのか、
その日一番調子がよい選手を使うのがよいのか、

どうなんでしょう。

2チームとも結果を出しているので
どっちがいいとかではなく、

チーム事情に合っている「やり方」を
選んでいるだけで、

それを活かすかどうかは、
選手がどれだけ自分の役割を
意識できているかだと思います。
—————————————————————–

厳密には、どこを守るか(守備)を固定した阪神。

野球の場合、ポジション争いというのが
開幕前のニュースになるのですが、

それを早々と阪神、岡田監督は
固定すると明言しました。

その効果もあって、選手の役割が
明確化されたことを勝因にあげる
解説者も多いです。

何を期待されていて、
「これをやればいいんだ」
というのが分かっている
というのがチームの強みに
なります。

役割を明確にすることは
責任の所在もはっきりします。

役割と責任はセットです。

昔の阪神なら、何かあると
フロント(上層部)のせいにしても
おかしくないのが
ずいぶん変わったものです。

役割は選手に自覚を促し、
固定して使うぞ、と言われれば

「任せられてる、信頼されている」が
発奮材料となり、なにより安心感に
つながります。

今の阪神は若い選手が多いので
1試合ごとに一喜一憂するのでなく
シーズン143試合をどう戦うかを
考えることで、

戦いながら育てることも可能になった
ように感じます。

それが固執しすぎ、こだわりすぎ
ている、と、ファンやマスコミに
叩かれることもありました。

実際の指導については、
『方向性』だけ監督が示して、
コーチに任せていて、
選手たちも自主的に行動する
ことが多かったと言います。

仕事で考えてみても
やるべきことがわかって
いると、自分たちで考える
ことができます。

自分たちで考えたから
やり続けられます。

その起点となっているのは
”任せる”です。

この任せるというのは
なかなか高度です。

先日紹介した石見さんの
「最強のチームビルディング技術が身につくレベル別課長養成講座」

この本のなかでも、
管理職に必要なスキル
レベル1~レベル5のなかで、

「任せ上手になる」は、
レベル4でした。

そして、この任せるために、
役割の明確化が重要になると
私は思っています。

役割を明確にして任せる

これができれば、
野球に限らず、マネジメントが
楽になります。

パ・リーグ優勝のオリックスは
打順が123通りあると
言われるように、まさに
「全員野球」での優勝でした。

毎日打線が変わるのは、昔から
猫の目打線とも呼ばれたりして、
弱いチームの苦肉の策、
ということが多いことから、

決して褒め言葉の印象は
なかったのですが、

その日の調子を見極めて、
最適の打線を組む戦術は
今の時代にマッチして
いるといえます。

今いる選手で最大限に力を
発揮させるというのは
人が採用できない今、
共感できるやり方です。

固定するから安心して積極的に
プレーできるという戦術の
阪神とはまったく逆の
選手起用なんですが、

それが上手くいくのは
スタメンも控えも皆が
「全員で戦っているから」
だと言います。

出てきた選手が活躍できる
というのは、準備ができていた
からです。

自分たちが何をすればよいか
わかっているから準備ができます。

12試合キャッチャーとして
試合に出た石川選手は

「自分がやるべきことは、シーズンが始まった時と
前半戦や後半戦では変わってきます。
2人の軸(の捕手)がいますが、いつ何が起こるか
分からないので気を抜くことは一度もないですし、
常に出られる準備をしておくことが控えに回る
人の大事なことだと思っています」

オリックスの中嶋監督は

選手を起用する際の基準のようなものは別になく

「今、状態がいいな」とか、
「このタイプのピッチャーに合いそうだな」
といったことは考えます。

適材適所の起用を、さらっと言います。

これは前出の石見さんの本では
レベル5です。

レベル5は本物のチームを
つくる、というレベルです。

たしかに、12球団がこうなりたい
と思っても、簡単にはなれないことが
わかります。

やり方だけ、わかっていても
だめなんです。

いきなり、レベル4やレベル5は
目指せません。

前出の中嶋監督の言葉は、こうも言います。

でも、僕がそうやって思って使っても、
選手がやってくれなかったら、ただの悪手なんで。
そう考えたらやっぱり選手がすごいと思いますよ

まず第一歩は、自分の役割を
どれだけ意識できるか、です。

そのための環境づくりとして
会社であれば、ビジョンや方針を
示せているかどうかが重要になります。

この役割とは
役割分担、業務分担に
限らず

「役割を意識する」と考えます。

今は、求められる役割も
刻々と変化します。

役割を意識するとは、
共通の成果(ビジョン)を
出すことを意識しながら

そのときの役割に応じて、
何をやるべきかを
考えることです。

みんなで成果を出すために
どのように力を結集するか
何ができるか、です。

オリックスは今年打線の要の
吉田選手がメジャーに行ったことで
育てながら、鍛えながら、
変化した結果の全員野球でした。

来年はピッチャーの要の山本選手も
メジャーに行きそうです。

果たして、どう戦い方が
変わっていくのか楽しみです。

人が変われば、またチーム作りは
変化していきます。

お読みいただきありがとうございました。
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