研修でできること、できないこと

第933号

「研修をすれば良くなると思うんですが、
なかなか集まってもらう日程を合わせるのが難しくて」

という人事のお話を聞いて、
調整大変だなぁ、と思いながら、

職業柄というか、
ちょっと気になる表現がありました。

” 研修をすれば良くなる ”とは

限らないなぁって思ったのです。

人が変わるのには、段階があります。

そして、研修の組み立てとして、
どうしてもできることには
限界があると思っています。
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勿論、人事の方がいう
「良くなる」というのが、
どこまでの変化を望んでいる
かにもよると思います。

研修でできることと、
できないことは
分けておくことが大切です。

最近知り合いの研修講師の方から、
可能であれば、年間で関われる
企画を企業に提案している
という話を聞きました。

私も同じ意見です。

これまでも何度か書いてきた
『ホメオスタシスの壁』という
のがあって、

「知っている」

「やってみる」

「わかる」

「できる」

「している」

人が変わっていくための過程を
6段階で表現したものです。

研修では、どうしても
「知っている」ところまでに
なります。

最近は実践多めの研修も多く、
その場合は
「やってみる」という段階まで
持っていくことが可能です。

それでも、
「やってみよう」という
最初の1歩を踏み出す
ところまでにはもって
いけても、

その先にある
「できる」
「している」
という段階まで引き上げる
ことは残念ながらできません。

反対に言えば、
最初の1歩を踏み出すことを
ゴールにするなら、
研修は適しています。

できる、している
という状態、

いわゆる“習慣化”している
状態にまで、もっていく
ことができて、

初めて、人の行動は
変わります。

そのことがわかっている
研修講師の方は、
年間で関わる企画を
提案をされているのだと
思います。

人が変わるところまでを
ゴールにするなら、

研修の期間だけを
長くすればよい、
ということではありません。

それは、もはや研修では
なくて、

成果を出すことを
目的としている、
コンサルティングの
範疇になります。

人によって研修のイメージや
定義が違うかもしれませんが、
私はこう思っています。

研修:知識や情報を得たり
正しいやり方を学ぶこと

コンサルティング:成果を出すことにこだわる

何を目指すかによって、
やり方も設計も違ってきます。

研修を終えた後に
講師から宿題が出たり

数か月後に
振り返り研修が
設定されることがありますが、

ないよりは、もちろん
あったほうがよいですが、

できる、している
という状態、

いわゆる“習慣化”している
状態にまでもっていくには
ずいぶん時間がかかって
しまうことになります。

無意識に「できる」状態
にあるのが、「している」状態
です。

ここまでもっていくには
自部署での実践が必要です。

実践できなければ
いわゆるペーパードライバー
です。

教習所で運転できるだけでは
「している」状態には
ならないと思います。

難しいのは、
自部署での実践です。

部署から一人ずつ選抜されて
参加したような場合、

特に社内での集合研修でなく
外部で行う公開研修に
参加したような場合は、

よし、実践していこう!と
思って部署に戻っても

一人でそれをやり続ける
ことは難しいからです。

そのうちに、研修中に
対応できなかった業務の
対応にも追われ

気づいたら、実践しよう
というやる気が失せて
しまっています。

同じ部署から複数で
参加できれば、
部署に戻っても

仲間と一緒なら
新しいやり方、考え方も
実践できそうです。

研修はやっても意味がないと
いうことではなくて、

できること、できないことが
あります。

いかにして、
研修で1回やってみた状態から

ずっとやっている状態に
もっていけるか、

そして、継続していけるか

是非、人事の方には
実践できる仕組みまで
意識した設計を
していただきたいと思っています。

お読みいただき、ありがとうございました。
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