第931号
「就業規則と評価制度どちらから作ったらいいですかねぇ」
勉強会でご一緒になった
仲間数人と起業した20代の
経営者の方からこんな
質問を受けました。
正社員の採用はこれから、
だそうです。
どちらも組織のルールです。
法律としての作成、届出義務の
話をいったん横に置けば
一番大切なことは、規程や
制度があることではなくて、
ちゃんと運用できているか
どうか、ということです。
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社会保険労務士としては
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ひとつの事業場に雇用形態に関係なく
雇用している労働者が常時 10 名以上
いる場合は、就業規則の作成、届出が
必要
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
という労働基準法から、
従業員数が10人以上であれば、
就業規則があって、まずはそれを
守れていることが前提になります。
法令遵守を考えると、どうしても
作成、届出している事実に
重きを置いてしまい、
リスクヘッジのために
作っている、
ということが少なくありません。
そんな事から、
就業規則はマイナスを
法令に合ったレベル
即ち、ゼロ(基準値)に
するもの。
という印象です。
評価制度は、最近は
査定のためだけでなく
社員の成長を促し
そのプロセスである
行動を評価するもの、
と言われることが多く
なってきたことから、
就業規則よりは
ゼロをプラスに変える
ツールというイメージも
あります。
いずれも共通しているのは
「就業規則を作っておけば
いちいち説明しなくても
ここに書いてあると
言えばいいんですよね」
「評価シートや賃金表を
作っていれば、
評価の基準や
どうしてこの金額に
なるのか、
明確になるんですよね」
という言葉をいただくことが
あるので、
「作っていれば、、、」
と、考えておられる方が
いらっしゃるのではないか、
ということです。
作れば、上手く活用できる。
という思い込みが
どこかにあるように思います。
作ることと運用は別ものです。
自戒の意味も込めて申し上げると
就業規則の作成依頼をいただくと
事前に、
これから3~5年でどういう組織にしたいのか
何か課題や気になることはありますか
というようなお話を
経営者や総務人事の方に
おたずねします。
そこで例えば、
なかなか有休5日の取得
(法律で義務化)が難しい
というような、
現状とのギャップも確認
しているのですが、
作成して届出までを契約した
社会保険労務士の仕事としては
そこで終わってしまって
いることも多いものです。
仕事の現場は法律通りには
いかないものだ、と
つい、そう思い込んでしまって
いるところが私にもあります。
なかなか法律通りには
いかないのがこれまでの
仕事のやり方だとしたら
どうしたら、それを変える
ことができるか、
そう考えて、
組織を良くするために、
就業規則は作るものだと
あらためて、思います。
評価制度も同じで
評価項目を見直したり
何度も説明したり
評価のフィードバックを
通じて、
ようやく制度が社内に
定着していきます。
ルールは作ってからが
勝負です。
頭ではわかっていること
なんですが、
なかなか上手くできません。
ルールを作ることがゴール
ではなく、
その先に目的があることを
忘れないことだと思います。
就業規則を作ることで
現状と法律の間のギャップが
明確になれば
就業規則が社内風土を
変えるわけではないですが
変わるきっかけにする
ことができます。
冒頭に書いた、
経営者からの質問
「就業規則と評価制度
どちらから作ったらいいですかねぇ」
この経営者の会社は
これから正社員を雇い、
新卒も入れていこうという
段階です。
だからこそ、ルールは
今のうちに作っておきたい
と思っているそうです。
創業メンバーだけなら
何もなくても共有できて
いることも
これから入ってくる社員の方が
安心して仕事してもらうために
ルールは作っておいたほうが
いいんじゃないか、
と思ったそうです。
「安心をどうやって伝えるのが
一番良いですかねぇ~」
というのが、私の答えというか
あらためて、経営者の方になげ
かけた質問です。
労働条件なのか
何を評価されて賃金が上がるのか
あるいは経営者の方は、
何によって、社員に応えたいと思うのか
という考え方もあります。
就業規則や評価制度でなくても
よいのかもしれません。
いずれにしても
就業規則があるから
評価制度があるから
というだけでは、
安心にはなりません。
せっかく作ったルールが
どのように運用されているのかが、
入ってくる社員の方にとっても
会社にとっても一番重要です。
作成するというのは、
運用するところまで含めて
”作成”というんだ、
と考えて、
どうやって運用していくのか。
評価制度の書籍にもあまり
書かれていないのですが、
作成時からそこまで考えて
仕組みにして継続していくことが
評価制度を活かす、ということなんだと
思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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9月15日(金)10月16日(月)同じ内容です。
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