等級制度は社内の認識を揃えるツール

第928号

人事制度とは?と聞いてみると、
「評価制度」「賃金制度」
挙げる方が多いと思います。

もうひとつあって、それは
最初に作る「等級制度」です。

「評価制度の中に含んで考えて
いました」
という方もいるかもしれませんが、
実はこれが重要です。

でも、作成するとき以外は
等級を意識する機会は少なく、
うまく活用できていないよう
にも思います。
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人事制度と言えば『職能資格制度』
と言われるようになじみのある
制度ですが

これは、職務遂行能力を等級
ごとに区分したものです。

このとき重要視されるのが
職務経験の年数だったりする
ことから、

「年功序列」と言われたりして、
導入企業の制度の見直しが
進んでいます。

そのほかにもジョブ型と言われる
『職務等級制度』は
職務内容やその難易度で区分
したもの。

一人で複数の職務をこなすことが
多い中小企業などは、

年功序列を解消して
「役割」に応じて区分する
『役割等級制度』に移行
することが多いようです。

評価の前に、
まずは、個人のレベルをどう
決めるかは大切です。

人事評価制度作成では
これを「格付け」と言ったり
しています。

ただ、実際には、どうしても
職位や給与の額ありきで

本来は3等級なんだけれど
最終的には4等級に格付け
していたりすることもあって、

運用を始めると、普段は
この等級制度を意識する機会は
少ないようにも思います。

それは「等級基準書」を作って
いない会社が多いことにも
つながっています。

等級ごとのレベル、水準を
示すかわりに、

評価Aを3年以上取ったら
昇格という『昇格基準設定表』と

面接であったり
上司推薦、試験なども
合わせて昇格を決定して
います。

ただ、現実には
昇格基準設定表のみで
昇格しているケースも
中小企業の場合は多い
ようです。

報酬決定という点から見ると
それでもよいかもしれませんが、

人材育成としてみると
個人に期待するレベル(等級)に
本当にあるのかどうか
検証しないまま

等級が上がっていく
というのは、考えものです。

組織運営のなかの
人材マネジメント
という視点で言えば、

人材レベルを横断的に
とらえるために
等級制度があると思って
います。

等級基準が明文化されて
いないと、

どうしても昇格あるいは
降格を決めるレベルが
あいまいになって
しまいかねません。

等級制度は
人事制度の体系を示す
採用資料として、
公開することもできます。

採用応募者はどれくらいの
人材レベルになれば
自分の報酬がいくらぐらいに
なる、
ということがわかりやすく
知ることができるため

実際にホームページの
採用ページに載せている
会社もあります。

等級制度は人事評価制度の
骨子と言えます。

何より、昇格基準設定表
だけでの運用だと、

〇等級に〇評価で〇年
という設計なので

一般職から中堅職に上がる
までに8年とか10年かかる
モデルケースを作ることが
多いのですが、

結果として、年功序列に
陥りやすくなります。

スタートアップ企業や
成長期にある企業には
この年数の縛りは
足かせです。

そこで、飛び級しても
いいですか?
というような質問にも
なるのだと思うのですが

例えば、3等級から4等級を
経験せず、5等級に進む
というのは、

その理由の多くが、その社員の
活躍や貢献に最大級で報いたい
ということからなのだと思う
のですが、

キャリアはその再現性を
大事に考えることから

私は3等級から5等級への
非連続な飛び級という考え方は、

現実に降格は難しいということも
合わせて考えると、
リスクが大きいと思っています。

昇格するときに試験の実施は
難しいという場合でも

あるいは、上司の推薦、
面接するときの基準としても

等級制度は現状と等級に
求められる理想の姿の
ギャップを示し、

評価制度はそれを使って
評価するという関係性です。

そして報酬は、等級ごとに
上限、下限が決定されて
います。

こうした繋がりから、
等級制度、それを明文化した
等級基準書は、
社内の認識を揃えるツールと
言えるのだと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。
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人事評価制度の作り方 
9月15日(金)10月16日(月)同じ内容です。

失敗しない運用のためのヒントがあります。

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