管理職が疲弊してしまう前に

第917号

新入社員が入社して3ヶ月以上が経過し、
そろそろ慣れてきたかなぁと人事部としては
気になるところです。

コロナで学生生活の3年間をオンライン
主体で過ごした彼らですが、当初
危惧されたコミュニケーション力も
むしろ高いのでは、という評判のようです。

コミュニケーション力がある一方で

「どういう人物なのか自分から
伝える」という主体性を発揮
するというのは苦手なようで、

「こんなふうにみられたい」
「みてほしい」

という受動的なところが特徴のようです。

受け身だけだと、なかなか
成長を実感できないものです。

成長を実感できないと
この会社では自分は活かせない
と、退職が頭がよぎってしまう
こともあります。

なんとも、もどかしいですが、

新入社員だけでなく、
実は管理職も忙しさのあまり
受動的となって、疲弊しています。
——————————————————————

新入社員は会社に
貢献したいし
成長したいし
やりがいをみつけたいと
思っています。

突然のコロナ禍を体験し
「なんとなく不安」を感じ
自分に「自信」を持ちたいと
思ってもいます。

それを自ら求めていくのでなく、
どうしても受け身で、
与えられることを待ってしまう
傾向があります。

そうして、待っていても
与えられないと失望して、

ある日突然、
「もっとやりたいことがあるんです」
と、退職することがあります。

新入社員が、与えてもらえるのを
待っているとき、

管理職は、経営者から
部下への指示を命じられ、
他の部署とのコミュニケーションを
もっと図って迅速に対処しなさい、とか
部下の仕事の不満も聞いたり
不安の解消もしなければならず

押し寄せる業務に、どうしても
受け身になりがちです。

目いっぱい働いている人事部長から

「いったい会社はこれ以上
どうしろと言うんでしょう」と

なんともやるせない表情をされた
ことがあります。

ホントに、
いったいどうしたらいいんでしょう。

私は、言われたことを言われた通りに
しているだけだと、ただ振り回されて
疲れてしまうと思います。

言われたことを言われた通りに
することが、決して管理職の役割
ではないと思います。

組織に盾突くというわけでは
ありませんが、

従ってうまく進めることだけ
でもないと思っています。

まずは、

どうしてそういう指示をするのだろう。
どうしてあの部署はこういう要望を
出してくるのだろう。

それぞれの意味を考えることが
大切です。

なぜなら、
指示されて動くのでなく
『自分で判断する』ことが
管理職に求められる役割だと
思うからです。

そして、これが、
主体的に動くということだと
思います。

好調ロッテの吉井監督は

主体性とは
『自分の考えのもとで責任を持って行動できる人』
と言います。

以前、ある会社の経営幹部の方が、
言っていた言葉を思い出します。

「われわれの仕事は言われてから
やっていてはダメなんです。
言われる前に準備して当然なんです」と。

組織における
学習の枠組みには
3つのレベルがあります。

指示されたことをやるのが
 『シングルループ学習』

そこから一歩進んだ
「適切な」物事に取り組んでいるか?
と問うのが
『ダブルループ学習』

何が適切で、何が適切でないかを、
目的から判断するのが
『トリプルループ学習』

管理職は、
トリプルループ学習を
求められています。

経営者は、なぜ
部下への指示を命じたのか。

目的は何なのか。

他の部署とのコミュニケーションを
図る意図は何なのか。

それが適切でなければ
質問や意見を述べることも
必要です。

そして適切かどうかを判断する
基準になるのが

自社は何を大事にしているのか
自社は何を目指しているのか
何のために組織はあるのか

つまり、ミッション、ビジョン、バリューです。

判断基準とこの3つが
つながっているから

適切な準備、適切な判断が
できるというものです。

判断には、当然、管理職の
責任が伴うわけで、

つまり、主体性を持つとは
こういうことなんだと思います。

もし判断基準が明確でなければ
管理職はつらいだけで、
疲弊してしまうことに
なりかねません。

管理職に主体的に動いてもらう
ためにも、ミッション、ビジョン
バリューとつながった

組織の判断基準を示すことが
必須です。

ところで、
新入社員にも主体的に
動いてもらいたいというのは

今の経営者、上司の多くの方が
思っています。

仕事をこなす、ではなく
仕事を楽しんでもらいたい
という声も聞きました。

そのためには、まず、
『シングルループ』
『ダブルループ』の思考を
持ってもらうことが大切です。

言い換えれば自主性です。

吉井監督は自主性とは、
言われたことを自らできる人と
言っています。

自分に与えられた仕事に
適切に取り組めているか

そもそも自分が設定した
目標は適切なのか

こんなふうに考えられるように
なることが順番ではないかと
思います。

そしてもうひとつ大切だと
私が思うのは、

石の上にも3年
10年で一人前

という表現があります。

10年経って、やっと会社が先行投資
してきた分を会社に貢献してもらおう、
という育成の考え方ですが

これをもう少し短い時間軸で
考えなおしてみると、

会社の目標とつながる個人目標を
持ってもらい、

会社の役に立っている仕事を
していると実感してもらう。

それが、

仕事は楽しい→もっと成長したい

につながる、という考え方に意識を変えて
いくことが、

人材育成に3年もかけられない
という現代には、必要なことじゃないか
と思います。

仕事は大変だけど、楽しい。
というのが普通になるように
目指していきたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。
————————
オンラインセミナー
『若手や優秀な中堅社員が辞めない組織になる』

日程:8月7日(月)
時間:14;00~16:30
定員:5名
参加費用:3300円(税込み)
対象者:経営者、経営幹部あるいは人事責任者の皆さん
※少人数での開催でもあるので、同業の方は参加をご遠慮ください。

セミナー内容

◆ワーク:<白鳥奈々子さん>
社員が辞めない組織とは-総合職として入社した
新入社員が孤立して辞めてしまう事例

◆1on1デモンストレーション 『面談は技術です!』効果的な面談の方法

◆1on1面談のポイントとは-自分から行動できるようになる
(社員が辞めなくなる)ためのポイントとは

■セミナー詳細(申込)は、こちらをご覧ください
http://ptix.at/kp4tzr

==============================
定期セミナーのご案内(zoom)
==============================

人事評価制度の作り方 7月26日(水)
失敗しない運用のためのヒントがあります。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
このブログを編集して、
メルマガを平日2回お届けしています。
ご希望の方は、 下記フォームよりご登録ください。

メルマガ申し込み
 

関連記事

コメントは利用できません。