中小企業の面談の目的は部下の成長です

第817号

「面談って必要ですか」

3年間人事評価制度の構築を
一緒に取り組んできた会社が

いよいよ私の補助輪をはずして
会社で運用を始めようとしたころ、
こんな質問をされたことがあります。

そういえば、やることありきで
考えていて、

なぜやるのか?

作った人事評価制度の何を
補完するためか

一緒に考えていませんでした。

社長は、

「評価を伝える面談は必要なんだと
思いますが、いわゆる普段の業務の
中でまで、部下面談って必要なんですかね」

この社長は効き脳診断でいうと
Cが高いです。

Cの特長は人間関係を最優先に
考えるところです。

確かに普段から夕方になれば
工場に行き、皆に声がけしています。

この社長からしてみれば、

わざわざ面談する必要があるのか、
ということなのでしょう。

話したり相手の話を聴くことと
面談は違います。

面談は成果を出すために
行います。

乱暴な言い方ですが、

評価制度がうまくいかない会社の
多くは、たいていの場合、

面談を見直せば
“適切な”評価はできるように
なると思っています。

傾聴すればよい、というだけでも
ありません。

面談手法のひとつ、1on1をお伝え
しながら、成果の出る面談について
お話ししたいと思います。
—————————————-
大企業の場合は、業務がシステム化
されており、コミュニケーションを
わざわざとらなくても仕事が回るように
設計されていると感じています。

だからこそ、希薄になった
コミュニケーションの質や量の
必要性が今、見直され、

1on1を筆頭にした面談の必要性が
言われているんだと思います。

一方、中小企業は上で述べた
社長のように、
コミュニケーションは
それほど悪くはありません。

ですから、、面談=コミュニケーションと
捉えると、

うちには必要ないんじゃないか、
と思ってしまっても無理ありません。

では面談を行う意味とは
それだけでしょうか。

まず、はっきり分けておきたいのが
評価面談とは別ものだということです。

評価制度を作っている士業の方でも
評価面談の新しいやり方として
1on1を捉えている方がいます。

評価制度の運用に1on1を取り入れている
コンサルタントの方の提案書で、

評価期間が2回なら2回、
4回なら4回、評価のタイミングで
1on1をスケジュールに入れている
のを見たことがありますが、

額面通り受け取るとそれは違う、
ということになります。

評価面談の目的は評価結果を
伝えることです。

そこに時間がないからといって
次期目標設定やアドバイスなど
盛りだくさんに盛り込むので
主旨が隠れてしまいがちです。

では期中に日常行う面談は、
というと

上司のなかには、コミュニケーションが
苦手な方もおられるので、

上司と部下のコミュニケーションを
上げる。

信頼関係の構築

これらも、もちろん効果のひとつ
です。

そして、

部下の成長支援という
目的があります。

中小企業はコミュニケーションの
優先度に比べて、

人手不足を考えても

人材の成長は常に優先度が
高いものです。

中小企業にとって面談の目的は
部下の成長ということになります。

社員の成長を目的として
評価制度を作る会社は
多いと思いますが、

それには面談がセットで
ついてくる必然性があります。

1on1について書かれた本を読むと
評価の納得性を上げることも
効果のひとつとされています。

納得性を評価期間の終わりに
上げても意味がありませんから、

評価面談とは別ものとして
分けて考える必要があることが
ここからもわかるかと思います。

では具体的にどういうことを
意識して面談すればよいでしょうか。

デイビット・コルブは

1.「具体的経験」

2.「内省(振り返り)」

3.「教訓」を引き出す

4.その教訓を「新しい状況に適用する」

この「経験学習サイクル」を提唱しています。

人は経験から学び、成長していく
という考え方です。

なかでも重要なのは、
「振り返り」:どれだけ深く、いろんな角度から考えられているか

「教訓の引き出し」:他の場面でも使えるように”概念化”する

経験が重要なのではなく、
それをいかに、成長や学びに
転換できるかどうかが大切で

同じ経験をしても、
人によって学びに差がでて
しまうのは

どれだけ振り返りと
次に活かす作業をしているか
ということです。

いわゆる目標管理すればよい、
というわけでもないのです。

ですから上司は面談のなかで、

「うまくいったことは何ですか」

「うまくいかなかったことは何ですか」

「その経験から何を学びましたか」

「何か過去の経験と関連することはありますか」

このような質問から、

本人自身が「気づく」ことが
できるよう支援することで
経験の質を高めていくことが
重要です。

部下を成長させるのは
評価制度という仕組みが
あればそれでよし、

ではないことはわかっていても

ついつい、面談は上司任せに
しがちです。

継続した組織の成果につながる
部下の成長を目指すなら、

面談についても、
仕組みにして継続して取り組む
ことです。

そして、面談の時間を捻出できる
ようにすることは、トップの役割
だと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。
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