第796号
4月に入って初めて、日用品の
買い出しにいきました。
普段それほど値札を意識していない
のですが、明らかに2~30円高い、(たぶん)と思う。
眼が慣れないというか、
ちょっとすぐには買えなくて、
帰ってきてしまいました。
ふと思い出したのが、
お客様のところで昇給を決める
会議に参加したときの社長の言葉です。
「今年は物価が上がるから
上げてあげないと、みんな生活できない」
今思えば「確かに」と、
心情的にはよくわかります。
それでもやっぱり、昇給のルール
とは別ものです。
ついつい現実の状況
(たとえば物価上昇)について、
自分で意味づけするときの
思い込みが、
昇給のルールの運用を阻んで
しまうことがあります。
自分で決めたはずのルールに
従えない、というのは
どういうことで起こるのでしょう?
「学習する組織」
https://www.amazon.co.jp/dp/4862761011/
このなかにでてくる「推論のはしご」
という言葉を使ってお話したいと思います。
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作った賃金制度では、
昇給原資から昇給額を導きます。
確かにそれでは、
社長が出してあげたいと思う
金額の半額程度にしかなりません。
来年からはこの制度の方法で
やると決めているのですが、
今年は、ほんとにそれで
いいのだろうかと
悩んでしまったのです。
でも、それでは
自分たちで決めた、
業績や個人の評価に連動
して作った昇給のルール
との整合性がとれない、
ということもわかっています。
だから余計に悩ましいのです。
仮に、社長が言う物価、
消費者物価指数に連動して
決定するとどうなるでしょうか。
2022年は2%アップで推移すると
新聞等でも言われていますが、
そうすると、賃金30万円の人は、
6,000円の可処分所得が減る
可能性が出てくることになるので
少なくとも6,000円のアップが
必要ということになります。
ただ、消費者物価指数も常に
上がってきたわけではなく、
コロナの影響もあって
2021年は前年より下がっています。
消費者物価指数が上がるから
昇給額を増やすなら、
反対に下がれば
昇給額も減らせるかというと、
簡単には社員の納得は
得られないでしょう。
やっぱりジレンマは起こります。
このような、環境に左右
されることを断ち切るために
「ルールを決めると決めた」
わけですが、
この会社に限らず、
なかなかうまく
切り替えることが
できない場合があります。
自分で決めたはずのルールなのに、です。
人はそれぞれの見たいものを見る
ものです。
つまり、
数ある情報の中から一部だけを
切り取って、その面だけを見て、
判断してしまうということです。
「学習する組織」という書籍のなかで
”推論のはしご”という言葉がでてきます。
6.行動する
↑
5.結論を信じる
↑
4.結論を出す
↑
3.仮説を立てる
↑
2.現実に意味づけする
↑
1.事実を選択する
人の思考は、
はしごを1から6にむかって
上がっていくイメージだと
いうものです。
そもそも
1の「事実を選択」したあとの
2の「意味づけ」が
自分のフィルターをとおした
勝手な思い込みだったら、
ここを変えないまま
ルール化まで駆け上がると
型が決まったルールと
本来の思考のギャップが
埋まらないままとなります。
昇給は会社の業績と
社員の成長で決める、
と、決めることが大事だと
わかっていても、
賃金を上げないと
社員はいずれ退職してしまう
という、自分のフィルターを
はずさない限り、
本来の行動は変えられない
というものです。
こればかりは
自分でフィルターを外して
意味づけを変えなければ
どうにもなりません。
経営者の方は思考が速いので、
結果がでるまで時間差がある
ことについて、
はしごを一気に駆け上がって
いくように、
「自分の解釈を前提とした行動」を
行ってしまいがちです。
時々はしごを降りたり上がったりを
繰り返してくれると
思い込みが外れるのですが
これだ!と思って導入したルールが
実は自分の思考とうまくかみあって
いないまま進めてしまうことは
あるものです。
だからこそ、ビジョンを
明確にして
“私たちはどこを目指す”
ということをはっきりさせてから
ルール化に取り組むことがよい、
と思っています。
最近ご相談いただく、
組織を変えたいというのも
同様です。
人と人は違うということを
前提として
現実の状況の意味づけ、
まずは「認識」を変えることが
「行動」を変えて、
「組織風土」が変わります。
何より、変わる前に、
推論のはしごは駆け上がらない
ことです。
気持ちゆっくり、行ったり来たりして
上っていくことが大切だと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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