第781号
2022年の冬季オリンピックもあと残りわずか。
知らない競技が多いからなぁと思っていましたが、
なんだかんだ言って、テレビで見ています。
ハーフパイプ金メダルの平野選手の
2回目の滑りの採点が物議をかもしました。
本人も記者会見で、ジャッジの基準が
「まだまだちゃんとしていない」として、
「もっとしっかりした」システムが必要だと、
採点システムの抜本的改革を呼びかけて
いました。
今回の自身の採点にも『どこを見ていたのか』
あらためて聞くべきだと思う、と
言っています。
『どこを見ていたのか』
これは人事評価の世界でも、社員からの
不満としてよくあがってくる言葉です。
評価シートがあればその答えに
なっているでしょうか。
評価項目が明らかになっていても
項目自体が実態に合っていない
こともあります。
人事評価なので、
人の能力、あるいは行動を
評価すると思っていました。
経営者の方は、評価制度を
作る目的を
人を育てるため
と答える方は多いです。
でも実際には
人が人を変えることは
できません。
人事評価は
人を育てるためではなく
仕事ができる人に
育ってもらうために
あるのだと思います。
見るべきものは人ではなく
仕事だと思うと、
今、ジョブ型に関心が高まる
ことに合点がいきます。
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「どこを見るのか」というのは
見る目的によって違ってきます。
ハーフパイプの採点基準には
回転数は含まれていないそうです。
初めて知りました。
平野選手が世界初、最高難度の
トリプルコーク1440が大技と表現
されても、
採点基準との間には大きなギャップが
あるわけです。
もともと、個々のスタイルを尊重し、
自由さもひとつの魅力として
捉えてきた歴史と、
競技として技術を競い、
発展してきた
現在の採点基準を
平野選手が言うように、
整理し、分ける必要が急務です。
人事評価でも実際に
評価項目が現状にそぐわなく
なってきている部分は
確かにあります。
大きな要因のひとつは
リモートワーク。
働き方の変化です。
人を見ようとしても
リモートでは見えないことが
人を評価することの難しさを
浮き彫りにしました。
そして、働き方の多様化も
あります。
こういうやり方をすれば
よい結果が出る。
とは、言いきれなくなりました。
以前から言われている
職能給が年功序列になっている
ということも、
つまりは、評価が実態に
合っていないということです。
何より、人を育てるというのが
人を変えることと同義語のように
使われているなら
少なくとも評価制度で
人は育てられません。
評価制度でできることは
仕事ができる人が
育つ仕組みづくりです。
主語を人にしていると、
上司はつい人物そのものに
目がいき、
「どうしてできないんだ」
とか
「何をやってもだめだな」
というような
理想に近づけようとするあまり、
ではあるのですが、
部下に対して、
パワハラともとれる言葉を
言ってしまいがちです。
大切な価値観の共有でもある
いわゆる情意評価
あるいは能力評価は
昇格、降格、昇進等の
指標とはなっても
人事評価として
点数や優劣つける
ことは、難しいと
言わざるを得ません。
組織全体で考えれば
一人の人で理想に
近づかなくても
全員で理想の形になれば
成果はでるわけです。
人事は人事だけで
成り立っているわけでなく、
組織構造のひとつです。
組織は成果を出すことが
優先されます。
その成果を出すためには
戦略を実行することです。
この戦略を実行するためには
各組織の役割をまず明確にして
従業員個々には、
要求される役割に足るスキルを
特定し、
それを向上させて
役割や職務を全うしてもらう。
”組織の中で”
どのようにして人を活かすか。
という見方に
可能な会社から、切り替わって
いくのだと思います。
HRテックやタレントマネジメント
というものに、関心が集まって
いるのも、
この流れをけん引していると、
感じています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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