「正論」と「言い切ること」は違います

第727号

毎朝、朝の連続ドラマ小説
略して「朝ドラ」を見ています。

映し出される森の美しさに、
思わず魅入られたのが、きっかけでした。

主人公は現在、気象予報士目指して
今後も深くかかわっていくだろう、
診療所の先生に、勉強を見てもらって
いるのですが

気象予報士の試験当日、次々とメールを
送って解き方の指示を出してくる先生に、

後日

「全然受け取る側のことを考えていない。
長文で、全部正論だし、どれもできないこと
ばかりで嫌になる」

と、そのときのスマホの
メールを見せながら言う
場面がありました。

まさに、正論とは、
そういうものですね。

よかれと思ってのことが
多いのですが、

相手がそれで動くとは
限りません。

思い当たること大ありです。

どうしても社労士として
法律の話をするとき
正論になりがちです。

こうしてください。
やるべきです。

という口調で、

経営者さんをイラつかせる
こと、きっとあると思います。

できるならやっているよ。
と言われてしまいそうなことを、
つい口にしてしまいます。

以前、悩んで、人に
相談したことがあります。

自分は今、正論を言っている
だけなのかと考えると

かえって気を遣って
遠まわしの言い方に
なってしまって
伝わりづらくなったり
する、

と言ったとき

「正論」と「言い切ること」は
違いますよ。

とのこと。

明快です。

違いはどこにあるのですか?

と聞いてみると、

相手の立場にたっているか、どうか、
だと教えられました。

確かに。

お客様の会社では
コロナ禍だからこそ、
今、できることを、

と考えて、

今のうちに社員の成長を加速させて
コロナが収束したときに備えようと
研修を実施しました。

どうでしたか?とたずねると、

研修して学ぶことより、
もっと今、やるべきことが
あるのではないか

というような意見が複数
出てきた

ということでした。

なぜ、今、研修に時間を
割いたのか、

みんなわかってくれてると
思ったのに。

ちょっと残念そうでした。

今だからこそ
社内の強化に目を向け
社員の力量を上げよう、
という研修の意図は、

伝えていました。

その考え方に異論が
ある社員はいません。

確かに正論なんです。

でも、人は正論では動きません。

研修の意図を
社員の目線にたって
伝えなければ

行動につながるようには
伝わりません。

会社は、決して、
正論(こちらの価値観)を
押し付けるために

研修を発案したわけでは
なかったんです。

だからこそ、
社員にとっての
メリットに落とし込んで

伝えられるか、が
重要でした。

社員の方は、
コロナ禍でも
成果目標を掲げて、

その目標達成を目指して
働いています。

この目標と今回の研修が
どうやら、うまく結びついて
いなかったようです。

どう役にたつのか?

研修自体にもう少し
ロープレとかワークが多いと、

うまくできるように
なったと実感できたり、

日常の業務に活かせる
イメージができて、

やった甲斐があったと
感じられると、

感想も変わってきたのかも
しれません。

正しいことを正しいと
伝えてはいけない
わけではありません。

言わなきゃいけないこと、

あります。

だからこそ、

正しいことと
伝わることは
別もの。

だということを

頭において、
言葉にしていくことが

ひいては、

相手の立場にたっているか

ということに、つながるんだと
思います。

私自身も、もっと意識していきます。

お読みいただき、ありがとうございました。

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