第716号
高年齢者雇用安定法の法改正が施行され
↓厚生労働省リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000694688.pdf
最近こんな声を経営者の方から
お聞きします。
「いずれ定年が65歳になるんでしょうか。
元気な方には働き続けてほしいけれど、
希望する人を全部というのは、
ちょっとうちの場合、厳しいなぁ」
正直、少子化や年金支給開始年齢等
考えると、いずれ定年は65歳に
なるだろうなぁ
って思います。
そうすると70歳までの継続雇用も、
今回の法改正では努力義務ですが
努力の部分が外れることは
十分想定しておかなければ
ならないでしょう。
実際には、
規模が小さければ小さいほど
70歳やそれ以上の年齢で
働いている方がたくさん
いらっしゃいます。
でも、定年再雇用の方について
会社にたずねると、
全員の方が、会社が望むような
働きぶりをしているかというと、
そうではないことも多いようです。
そこで、冒頭の経営者の
「厳しいなぁ」になります。
確かに”高年齢者(シニア)雇用”と、
ひとくくりに考えるのは難しいです。
では、雇用しなくてもよい
方法を考えますか?
それが無理なら、
このまま法改正ギリギリまで
何もしないでいますか?
そんなことは誰も
思っていないでしょう。
難しいから
どこから手をつければ
よいかわからないから
困って先送りしてしまって
いるのだと思います。
人生100年時代になって、
企業と社員(個人)が
幸せな関係を築く方法を
考えていきたいものです。
もちろん、選択は自由
ですが
企業としては、
どうやって、60歳~70歳の
10年を活かせばよいのかを
考えたほうが現実的です。
なぜなら、
同一労働同一賃金が施行され、
長澤運輸事件を始めとした
一連の定年、再雇用における
裁判での争いは、
判決の如何に関わらず、
会社としては避けたい
ものです。
日本型雇用を称して
メンバーシップ型
という言葉も広まりましたが、
これまでは60歳の
定年を機に、
シニアと呼ばれる、
その方々は、
メンバーから外された
扱いでした。
いつの間にか
仕事の内容が変わらないまま、
評価と処遇だけが
メンバーから外された状態に
移行していることで
労使のギクシャク感が
生まれていました。
今後、バブル入社組や
団塊の世代によって、
60歳以上の占める
割合が増えていき
同一労働同一賃金も
遵守するとなると、
人によって、仕事の質に
ばらつきがある状況を
そのままにしたままで、
年金受給までの
”つなぎの雇用”
という意識のままでは
経営に大きな影響が
でます。
このままでは、
冒頭の経営者の言葉のように
シニアの雇用は厳しい、
と言わざるを得ません。
結局のところ、
企業の人員構成や
採用形態など
状況は各社各様で
答えは会社それぞれが
考えてみつけるしか
ありません。
65歳以降の雇用を阻む
課題は
経費増だけでは
ないことが、
シニア雇用をより
難しくしています。
一つ一つ問題解決
する手法ではなく、
すべての課題が
複雑に絡みあって
いることを自覚して
同時に取り掛かって
いかなければ解決
できません。
複雑ゆえに、余計に
先送りはできませんね。
先が見えないなかで
答えを見つける拠り所は
どういう会社でありたいか
どういうふうに
シニア雇用をしていきたいのか
やっぱり、
ビジョンを描いて
向き合うことから
始まります。
そして、方向性が出た後
打ち手のひとつとして
考えられるのが、
シニア雇用者への
ジョブ型評価の導入です。
生産性の向上を目指す
働き方改革の目玉として
施行された同一労働同一賃金が
再雇用の社員にも
適用されることを機に
会社が考える質の高い
仕事を、再雇用後の社員にも、
求めていくことになるでしょう。
シニア世代を
「戦力的雇用の観点」で
捉えなおして、活かそうと
考えれば
評価制度は、60歳までを
作っていればよい、
とは、いかないという
ことです。
職種や部門、あるいは
個人によって
仕事の質の差が大きい
現実であればこそ
シニアに期待することを
明確にしたうえで
限定された職務内容や
役割と処遇をセットにする、
ジョブ型の評価制度を
あてはめて、
高年齢者をひとくくりでなく
個別にマネージメントすることは
十分考えられます。
高年齢者雇用の厳しさの
ひとつの突破口になればと
思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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