第708号
「社長の言葉にがっかりしました」
一緒に会議に出ていた
人事部長の言葉です。
「これじゃあ、何のために
人事制度を作っているのか
わかりません」
会議で突然社長が
評価制度のみ先に導入し、
翌年以降に賃金制度を導入する。
と宣言したからです。
その導入方法自体は
問題はありません。
評価と賃金はセットで
一気に導入しなければ
いけない。
というものではありません。
社長と一緒に制度設計に
最初から関わってきた
人事部長としては
セットで一気に導入
するつもりで準備を
進めてきていたので、
社長のこの決断は
青天の霹靂だったわけです。
なんで、どうして?
という心境です。
私も、このとき
はじめて聞きました。
人事制度は経営戦略の
一つのツールです。
社長にとっては、
人事制度の完成とは、
人事制度に社員が納得して
くれて運用できることです。
人事部長にとっても
勿論社員の納得を軽んじて
いるわけではないですが
まずは、スケジュール通り
作って、導入することが
完成という認識です。
同じようですが、
完成のイメージが
違います。
社長が急遽、
評価制度のみの導入を
決断したのは
自社より少し前に
人事制度に取り組み
始めた知り合いの会社が
評価制度の評価項目に
納得できないという声が
社員からあがって、
紆余曲折あって、
結局、人事制度の導入を
やめてしまった。
ということが
あったそうです。
自社より業績もよく、
社員もしっかり教育
されている会社だと
評価していたので、
そんな会社でも
人事制度の導入が
難しいのか。
非常にショックだった
ようです。
そこで、
社員が評価に納得
しなければ、その後の
賃金(昇給や賞与)には
納得できない
と考え、評価制度だけ、
まずは導入するという
宣言になったということ
です。
人事制度の完成の
イメージが少しズレて
いました。
こういうことが
おこるのは
目標と目的の関係が
影響しています。
社長は常に
「目的」を意識して
その「目的」を
達成するために
「目標」をたてます。
部下は、
社長の「目標」を
「目的」にして
その「目的」を
達成させるために、
部下としての
「目標」を立てます。
部下の「目的」は
社長の「目標」を達成
するための手段です。
ここで大事なことは、
「目的」を達成するために
「目標」は変わることがある
ということです。
今回、社長の目的は
人事制度を運用して
優秀な社員の定着を
図ること。
そのために、人事制度を
完成させることが
目標です。
人事部長の目的は
社長の目標である
人事制度(評価+賃金)
の完成でした。
社長の目標が変わったら
人事部長の目的は
変わってしかるべきです。
より目的に近づくために
社長は目標を変更しました。
でも、社長の目的が
見えていないと
人事部長には
社長の意図は
通じません。
見ている景色が違う、
と言ってしまえば
それまでですが、
伝えることはできます。
むしろ、伝えなければ
目的は達成できません。
社員の納得を
大事に考えるなら、
だからこそ
社員の納得の前に
人事部長と
目的を共有して
人事部長の納得を
得ることが先決ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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