70歳までの就業確保措置(努力義務)に思うこと

第692号

東京五輪・パラリンピック組織委員会の
森前会長の失言を見ていると、
女性蔑視も老害という表現も、
根っこはおんなじ
価値観によるもので、

様々な立場、状況の人を、
ひとくくりにして論じる
時代ではもうないよなぁと、
あらためて感じています。

「高年齢者雇用安定法」が2021年4月改正されます。

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000626609.pdf

“努力義務”ではありますが
70歳までの就業機会の確保について、
多様な選択肢を法制度上整え、
事業主としていずれかの措置を
制度化する

というものです。

パンフレット

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000694688.pdf

日本の定年は
1986年に60歳定年が義務化
されるまでは55歳でした。

55歳はまだまだ若いなぁ
というイメージですが、

昭和に生まれた
漫画「サザエさん」の
波平さんの年齢設定は
54歳です。

波平さんのあのイメージが
昭和の54歳のイメージ
だったんですね。

2021年の今、55歳と言えば
キョンキョンですからねぇ。

感覚、違います。

1月、厚生労働省は
令和2年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)
を公表しました。

https://www.mhlw.go.jp/content/11703000/000715048.pdf

従業員31人以上の企業
164,151社の調査状況です。

規模の内訳は

「中小企業(従業員31人~300人規模と定義)」147,081社

「大企業(従業員301人以上規模と定義)」17,070社

〇65歳までの雇用確保措置のある企業 計164,033社(99.9%)

〇65歳定年企業 30,250社(18.4%)

(内訳)中小企業では28,218社(19.2%)

    大企業では2,032社(11.9%)

〇66歳以上働ける制度のある企業 54,802社(33.4%)

(内訳)中小企業では49,985社(34.0%)

    大企業では4,817社(28.2%)

66歳以上働く制度がある中小企業
3割なんですね。

中小企業の場合、
関与先を見回しても
66歳以上が働いている
という実態がまずあって、

それに呼応する
制度を作っている、
という印象です。

2013年に65歳までの
雇用延長が義務化され、
7年後の2020年には
調査企業中99.9%が
65歳までの雇用確保
措置をとっていると
言えると思います。

実際に、70歳以上でも
働いている企業を
いくつも見ています。

そして、
少子化の進行も考えると、

70歳までの雇用確保を
今から考えることに
早すぎるということは
なさそうです。

同じ4月からは
中小企業でも
同一労働同一賃金が
始まります。

非正規社員には、
もちろん、
定年を迎えた再雇用者も
含まれます。

高齢者の雇用と
同一労働同一賃金は
セットで考えなければ
なりませんね。

そして、
働き方と報酬は
セットです。

高齢者であっても
なくても
フルタイムで
働いていれば
それにふさわしい
報酬が必要です。

この報酬を決定
する際に

年齢という
切り口ひとつで、
一律に金額に
差をつけることは

働き方がそれぞれ違えは
できないということです。

あくまでその人の
選ぶ働き方によります。

「みんな一緒」
とはいかない、となると

みんな一緒の
価値観で作られた制度は

法改正に関わらず
見直しは必至です。

少し前なら
再雇用時の報酬は、
年齢給や勤続給部分を
定年時に削って
能力給のみの
賃金体系にしましょう、

という提案も
してきましたが、

定年を機に働き方が
変わることが、
前提にありました。

今は、定年後も
同じ働き方を
している人が
少なくありません。

どのように、
ひとりひとりの
能力を最大限に
活かすのか。

会社はどういう
キャリアを
社内で築いていって
ほしいのか。

定年後の社員の
役割は何なのか。

まず、これらを考えて、
決断していくことが
新たなルールを
生み出します。

お読みいただき、ありがとうございました。

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