思っていることしか伝えられない

第675号

コロナ禍のなかで
最近問い合わせがあるのが
コロナ禍ということを
差し引いても、

「上司が評価できていない。どうしたらよいか?」

というものです。

どう評価できていないかというと
点数のつけ方に
甘い、辛いがある

という以前に、
評価会議で意見を
聴いていると

そもそもの、
評価項目の理解度に
差があるというのです。

たとえば、チームワーク。

イメージを共有するために
できるだけ具体的な
行動に落とし込んで

定義や評価の
着眼点を作成
しているはずなのですが

定義、着眼点の理解に
ズレがある

というのです。

私としては、
その話を聞いていて

「今になってそこを言うんだぁ(笑)」

という心境です。

人事としては
理解度が低いので
なんとかしてほしい

という要望なのですが

理解度が低いわけではないと
私は思うのです。

チームワークに対する
考え方の違い、

つまりは
価値観が違うのです。

ズレがある評価者の思う
チームワークと

会社が思うチームワークが、

違っていても
不思議ではありません。

マニュアルがあって、
「会社はこういう定義、
着眼点ですから、
これに添って
評価してください」

と指導しても、自分の
考えと違うものでは

評価しようと思っても
やっぱり、無理があります。

ここで大事なことは
会社に合わせるのではなく

評価者の考えとの折衷案を
探すのでもなく

探るべきは
「どこで共感し合えるか」
です。

評価される側のときは
少し違和感があっても

それなりの点数がついていれば
あまり気になりません。

いざ自分に部下ができて
評価し、説明する立場になって

「自分が腑に落ちていないことで
ちゃんとした評価はできないし
ましてや説明なんて出来ない」

と、初めて上司になった
社員の方が言っていました。

人は、たとえ頭で
理解していても、

評価のマニュアルが
あったとしても

自分が思っていることしか
人には伝えられません。

自分の言葉で
伝えなければ
伝わりません。

人事の方には
この評価者の社員さんと
あらためて言葉の定義を
確認し合ってもらい

共感してもらえるように
説明してください」と
「伝えました。

共感してもらうための拠り所は、
やっぱり会社の目指すビジョンです。

主観と主観が
ぶつかり合って

どちらかが
折れる、折れない

では、ありません。

すべてが一致する
必要もありません。

会社の目指すビジョンに
共感できるかどうか、

ビジョンから
つながっている
チームワークの説明に、

自分の価値観と
つながるものを見つけて、

「あぁ、そういうことですね。
言われてみれば、わかります」

という、この
「わかった」という
共感をしてもらえれば、

自分の言葉で、部下に
伝えることができます。

上司が評価できないのは

自分自身が納得
できていないから

自分の言葉で
説明できない評価は、
できない
ということかもしれません。

お読みいただき、ありがとうございました。

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