経営判断する前に知っておいてほしいこと

第617号鈴木早苗ブログ

コンサルタントや顧問として
会社の会議に同席させていただく
機会があります。

新型コロナウイルスの問題が出て以降
経営者の方から出てくる言葉に
「決断」
「経営判断」
という言葉が、いつも以上に
多く出てくるように
なりました。

最後は経営判断。
経営者が決める。

これは組織の選択として
問題ないというか、
当然のことです。

ここで気を付けたいのは
その経営判断は
システム1で判断
していないかな?

ということです。

システム1とは

以前のブログやメルマガでも
システム1やシステム2について
書きました。

2002年に、ダニエル・カーネマンが
ノーベル経済学賞を受賞したことで
知られるようになった

『行動経済学』という
比較的新しい学問があります。

『ファスト&スロー』(上下巻)

という書物の中で
カーネマンは、

人間の思考モードは
2つのシステムに分けて
考えられると言って

出てきた言葉が
システム1であり
システム2です。

システム1
無意識に行動、判断する仕組み
身体が勝手に動くので、

スピードが速く、
同時に複数のことを
処理できます。

いわゆる「直感」と
言われるものです。
無意識ですから、
脳はあまり疲れません。

1+1はいくつ?
と聞かれたら

間髪おかず2と
普通、答えます。

これは脳の中の
システム1と呼ばれる
認知機能が自動的に行う
ことの例です。

考えずに、
いわば、反射神経で
回答している
というものです。

一方
システム2
意識的に行動、判断する仕組み
状況を理解したり、何かを考えたり
判断したり。

同時に複数の作業を
行うことはできません。

理性的に判断しようとするので、
脳を使います。
疲労感や負担感があります。

今流行りの(?)テレビ会議

普段の会議以上に
疲れる、といいます。

普段の会議より
顔がよく見えるので
いつも以上に
参加者を意識して
集中することが
必要だからです。

集中力や注意力を要する
これらの行動などは

システム2が発動すると
考えてよいでしょう。

人は意識しないと
直感(システム1)で
判断しがちです。

簡単だからです。

普段の会話や
例えば買い物などは
それで問題ありません。

素早く結論を出せる
という長所は

半面、間違いを
犯しやすいし、

バイアス (偏り)がかかった
判断をしやすい
弱点があります。

通常は、
システム1の発動後
システム2が適切かどうか
チェックして修正します。

この修正が
効かなかった時が
やっかいです。

たとえば、
考える時間に
制約があるときなどは

判断スピードの
遅いシステム2を
発動させる前に、
システム1で
判断しがちです。

普段、システム1、2は
両方ともオンになって
いますが、

システム2については、
省電力モードで動いています。

意識してシステム2を
発動させないと
修正が効かず、

不合理な判断を
正しいとしてしまう
ことがあります。

やるか、やらないか、
という二者択一では
ないはずの問題を、

二者択一で選んで
しまったりすることが
脳にはあるということです。

こんなご時世だから、
〇〇すべき

この難局を乗り切るには
〇〇するがの当然だろう

そう思ったときに

ちょっと待てよ。
ほんとにそうかな

と、自分の判断を
疑うことが

システム2を
発動させる
ことになります。

システム2を
発動させたうえで

正しい、正しくない
を、判断する。

というよりは、

自身の「ミッション」に
基づいた”決断”かどうか

自分の心を見定める
ことです。

自分は何のために
〇〇をしようと思ったのか

今、自分がしたいことは

やらなければならないと
思っているのは何なのか

ここを自問自答するしか
ありません。

経営者は
決断したら
やるしかありません。

だからシステム2の
役割は重要です。

経営者が決断したら

私の役割は

その決断が
よい結果を出すように

見守り、支援することです。

システム1の手ごわさは
ほかにも「損失回避性」
というバイアス(偏り)が
あるのですが、

これはまた別の機会に。

お読みいただき、ありがとうございました。

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