第559号
関西在住の二代目社長から、
セクハラの相談が舞い込みました。
関西の同業の先生のホームページに
私の『労務問題解決センター』という
広告ページがリンクされており
それを見て連絡してこられました。
いろいろと情報収集されていて、
実は、セクハラを理由として、
解雇するのは難しいこともご存じでした。
だけど、何かプラスαの知恵があるなら
教えてほしい。
あるいは、
もし最悪のシナリオ(労働争議)になったら、
どういう心づもりが必要ですか?
ということが知りたいということでした。
今回のご相談は
上司と部下とか同僚間のことではなく
他の要素もあり少し複雑でした。
ここでは、セクハラという広義において
やるべきことをまとめてみると
セクハラが確認された場合、
加害者を解雇できるか、というと、
実は解雇するのは難しいです。
よほど悪質な場合
・犯罪行為に該当する場合
・日常的に上司が部下に露骨な性的発言や
身体的接触を繰り返したうえに、拒絶する
相手にキスしたり、自宅近辺まで押しかける場合
このような行為に対してでないと、
普通解雇は難しいということです。
最初から、懲罰規定のもっとも重いものでなく、
始末書を取る、減給処分、出勤停止、降格、
諭旨解雇、懲戒解雇、というように
手順をふんで、徐々に罰が重くなるような
関係性の処罰を経ることも肝心です。
会社は、日頃からセクハラ防止のための
施策を打っている、ということが、解雇を
有効とする上で、必要な要件となります。
セクハラ被害を訴えられた会社は、
その対応がまずいと、多額の賠償請求を
被害者から、会社が受けるということも
十分あり得ます。
ポイントは、被害の申告があがったら
・当事者双方から事情聴取する
ここが後手に回るのは避けたいものです。
事後対応が不適切だと、
使用者責任や職場環境配慮義務違反が
あったとして、債務不履行責任が
問われるということを知っておきたい
ところです。
ご相談の会社は、ご相談時点で
このような情報はご存じだったわけです。
解雇は難しいとわかったうえで、
解雇した場合に、不当解雇で
訴えられた場合に
いわゆる金銭解決の相場は
いくらぐらいでしょう?というものです。
一般的には給与の3~8か月分は心づもり
しておかなければなりません。
そこを覚悟したうえで、
セクハラを行った人の異動
就業規則のセクハラ関連の条文の強化
会社全体のハラスメント研修
そして
セクハラを生みだした風土を
改善する必要もあるでしょう。
最後に私が社長に言ったことは
”さて、社長、
ところでまずは、何をしますか?”
今回、ご相談者と話していて
事前、事前に対応しているから
大丈夫です。
という発言がありました。
私への質問だけでなく、地元の
所属団体の相談会でも弁護士に
相談に行ってくるとのことです。
専門家を賢く活用して
そのやりとりの中で
ご自身の意見をまとめて
いかれることは大事ですが、
あまり、情報や知識を入れる
ことにばかり目を向けていると、
対応が後手に回る可能性があります。
行動しなければ、環境は改善されません。
たとえば、3回にわたって
2020年4月施行の
パートタイム・有期雇用労働法
についてお伝えしてきました。
これも同様に、情報として
知っておくことも大事ですが、
まず会社として出来る取り組みから
取り組みを始める。
それが必要だから、
情報を仕入れるのです。
知っているだけでは何も変わりません。
ホメオスタシスの壁を持ち出すまでもなく
「知っている」の次のステップの
「やっている」
ここを意識して、
行動に繋げるようにしていただきたいです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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