第499号
作家宮本輝が、自らの父をモデルにした
松坂熊吾とその家族の波瀾万丈の人生を
書いた自伝的大河小説「流転の海」
https://www.amazon.co.jp/dp/4103325194
執筆開始から三十七年書き続けられた長編です。
この中に出てくる読者の間では
知られた言葉を、日本経済新聞朝刊
でみつけて、はっとしました。
「自尊心よりも大切なものを持って生きにゃあいけん」
自尊心は大事ですが、それだけに囚われてはいけません。
思い当たることが最近何度かありました。
自尊心って何でしょう?
自尊心:a自分を優秀な者だと思う気持ち。尊大に構える心。プライド。
[出典:大辞林第3版]
b 自分の品位を保とうとする心。プライド。
自分の人格を大切にする気持ち。また、自分の思想や言動などに自信をもち、他からの干渉を排除する態度。
[出典:デジタル大辞林]
私がこの言葉に持つ印象としては
尊大に構える心とか、他からの干渉を
排除する態度、というのが当てはまります。
だから、この小説の言葉を見た時
はっとしました。
やっかいなのは、自分の心もちが
調子に乗ってる状態ではなく
迷いや自信を失いかけているからこそ、
知らず知らずのうちに、身を守るために
自尊心が高まっている状態です。
そもそも自尊心が高いというのは
自分に自信があることです。
それが、自信を失いかけているのに
自尊心が高いという、いびつな状態なことが
やっかいなのです。
分析して説明できる知識を
持ちあわせていない私ですが、
個別の部分では、自信があるけれど
おおむね自己肯定感が低い所以かもしれません。
この状態を、なんとか自分の気持ちを
コントロールできる状態に、持っていきたい
ものです。
でも自分に向かって自信を持て、
って言っても、高まるものではありません。
氷山モデルを持ち出すまでもなく
なかなか思考の構造は変わりません。
でも、こんな状態にあっても
心が安定するときがあります。
それは、認めてくれる人や言葉に出会うときです。
「自己有用感」と言います。
自己有用感とは、自分が有用だと思える感情です。
自分が人の役に立っている
貢献している
と、認識できているときに得られる感情です。
一番よいのは自己肯定感、
自己有用感も高いのがよいですが
なかなか両方高い人は少ないものです。
評価面談の結果を会社に聞くと
・こういうやり方で仕事するといいよ
と言っても、言うことを聞いてくれない
・自己評価をさせると高い点数をつけて
結果がでないのは、周りが協力してくれない
からだ、と言う
・自己評価で低い点をつけているので、
そこはもっと出来ているよと言っても、
周りに迷惑をかけて申し訳ないの一点張りなんです。
このような話を上司の方から聞きます。
上の2つは、自己肯定感は高いけれど
自己有用感が低い例。
3つめは自己肯定感が低く、自己有用感も
低い例です。
自己有用感が高まるのは
客観的な目で認められることで
自分自身に確かな自信を持つことです。
ゆえに、結果として自己肯定感も高まってきます。
成長には自己肯定感も自己有用感も大事です。
どちらから高めようとするなら、
まずは自己有用感からです。
自分で自分に自信を持て
と言い聞かせても、納得できません。
自分のことは自分で否定できます。
一方、自己有用感は
周りの評価によって得られるものです。
自分以外の人の感情を私が否定することは
できないので、何度も「認められる」と
自己有用感は高まるというものです。
自己有用感は
自分が人の役に立っている
貢献していると認識できているときに
得られる感情です。と言いました。
よって、上司の方には、
結果がでているときだけでなく
そのプロセスにおいても
小さな目標を設定して
『認める』言葉をかけていただくことで
部下の方の自己有用感が高まる環境を
作っていただきたいものです。
上司の方に部下を認めてあげてください
というと、簡単に認めるような言葉を
かけることに抵抗がある、と言われます。
認める=褒めるではありません。
上司の方が部下の方の言動を見て、
役に立っている
貢献している点があれば
その大小にかかわらず、
事実として“認める”言葉をかける
↓
部下の方のなかで、確かな自信が生まれて
自己有用感が高まる
↓
部下の成長
私自身も、人と人は違うということを
一緒に学んだ仲間との勉強会に出向くことで
自己有用感を高めています。
どういう環境に身を置くか、が大事です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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