第490号
人は決断するときに、本音が見えます。
譲れないことは何なのか。
これは良い悪いではありません。
その人の価値観です。
解雇を社員に言い渡したお客様の社長がいます。
いわゆる問題行動がここ数カ月、頻繁に起こる
ようになりました。
以前から、問題行動はありましたが、ひとつひとつを
取ってみれば、解雇まで問われるものではなかった
かもしれません。
すでに解雇を言い渡してしまったわけですが
客観的にみれば、解雇権濫用の可能性もあります。
いくらなんでも、もう少しやれることは
あったんじゃないか、というのが通常の判断です。
でも、社長には譲れない思いがありました。
いえ、決して擁護するつもりはありません。
ただ、社長の思いは、理解はできます。
頭では、一気に解雇を言い渡すなんてやっちゃいけない
ことはわかっていましたが、
まさに石橋をたたいて、たたいて渡ろうとして、
たたき割ってしまったという感じです。
今更どうしようもありませんが、
ひとつわかったことは
社長の本音は、解雇しかなかった
ということです。
その人の問題行動が目に余って、
プロジェクトが止まってしまった
会社があります。
直属の上司もさじを投げて、全体的なムードでは
解雇もやむなしと見えましたが、社長の出した
決断は、部下が問題行動するのは、私の教育が
出来ていないから。
そう言って自分自身を責めて、反省する社長が
おられました。
解雇も人に関する経営の判断です。
ここに社長の価値観、ポリシーが表れます。
以前ブログで「たとえ負けるとわかっていても」
と、解雇について書きましたが、
あえて解雇権濫用と言われても、
判断せざるを得ないと判断したわけです。
周りが辞めてもらおうと言っても
そもそもその社員に非があるのは
自分の至らなさだから、辞めてもらう
という選択肢を無しにしました。
考え方としては、何度もいいますが
良い悪いの判断は横において、
理解はできます。
でも、どちらの場合も、このままでは
問題は解決しません。
社長は、問題には自分は関係ないと思いがち
ですが、実は、しっかり社長も問題の一部です。
自分でそこに気がつかないと、
同様の問題はやっぱり起こります。
頑なだから? 確かにそれもあります。
信頼関係が築けていなければ、
何を言っても通じあえません。
どこかでギャップが生まれたのでしょうか。
そもそも信頼を生むもとになる、
共感が出来あがっていなかったのです。
恥ずかしながら、解雇の場面になって
社長の本音を知りました。
でももっと前から、社長の本音、
拘りというか価値観を共有
できなかったのでしょうか。
もっと前向きに同じ方向に向かうことが
できたかもしれません。
「解雇」という選択ではなく
お互いの違いに気がついて、
発展的な契約の解消ができたかもしれません。
最後通告の場でないと、共感できるか
できないか、わからない。
そんなことがないように、
同じ方向に向かえるかどうか
ミッション、ビジョンを明確にして
「この指とまれ」と旗を掲げることです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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