第467号
7月25日日本経済新聞朝刊に次のような記事がありました。
公正取引委員会の山田昭典事務総長は、吉本興業が所属タレントと書面で契約書を交わしていないことに関連して「契約書面がないことは競争政策で問題になりうる」との見解を示した。
吉本はこれまで大崎会長いわく、口頭のみで
契約書面は交わさない方針をとっていました。
公正取引委員会山田事務総長は
「契約書がないだけでただちに問題になるわけではない」
という見解を示しています。
よって、あくまで、今後は契約書の作成について
所属タレントから要望ばあれば個別に対応するとして
口頭での契約で問題ないとの姿勢をとっています。
公正取引委員会は、ジャニーズ事務所に対しても
民放テレビ局などに対し、元SMAP(現・新しい地図)の3人を「出演させないよう圧力をかけていた疑いがある」
として、これは独占禁止法違反につながる
おそれがあるとして注意したという
ニュースが流れました。
これらの流れは、2018年2月に公正取引委員会が
芸能人などフリーランスにも独占禁止法を適用
すると発表したことに因るものです。
個人事業者は労働基準法の適用外
となることから、いわゆるフリーランスで
働く人だけでなく、スポーツ選手や芸能人を
独禁法で守ろうとするものです。
吉本興業については、現在6000人の芸人を
抱えているというのも衝撃でした。
闇営業問題で対応が早かった
ワタナベエンターテインメントは
HPに載っている芸人さんが107組
いかに吉本興業が際立って多いかがわかります。
契約書締結に舵を切るようになれば
約束事、ルールが明文化されるわけで
管理の面からも、所属芸人の数を絞ること
になるかもしれません。
この契約という言葉がニュースで出てきたとき
労働者が会社と締結する「雇用契約書」を
頭に浮かべた方は多いと思います。
正社員の方のなかには、雇用契約書を
交わしていないけれど、それはだいじょうぶなのか?
と思った方もおられるかもしれません。
雇用契約書がないからといって
労働契約が無効ということではありません。
労働契約は、その労働条件について
労使間で合意がなされた時に成立します。
それは書面によらず、口頭だけでも成立します。
ただし、書面により提示しなければ
ならないものがあります。
これを書面にしたのが
「労働条件通知書」です。
書面による明示事項
1.労働契約の期間
2.就業の場所・従事する業務の内容
3.始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、
休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は
就業時転換(交替期日あるいは交替順序等)に関する事項
4.賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り
・支払の時期に関する事項
5.退職に関する事項(解雇の事由を含む)
6.昇給に関する事項
労働条件通知書があれば、雇用契約書がなくても
構わないでしょうか。
書面の名称は問われないのですが、
私は、『雇用契約書兼労働条件通知書』を
締結しておきましょう、と伝えるようにしています。
雇用契約書部分は具体的に
遵守事項
懲戒
解雇について記載して、
労働紛争が起きた時、その拠り所となる
基準とします。
契約内容を定めて、お互いにサインしておく
ことで、互いに労働条件、契約内容を確認し
認識をそろえます。
無用な労働紛争を避けるため
言ったつもり、言われたつもりがないように
なぜなら客観的に「労使間で合意」している
ということを証明する術は、書面で 締結
するしかないからです。
無用な労働紛争を避けるため
言ったつもり、言われたつもりがないように
社内ルールの整備の基本として
労使の信頼関係の第一歩として
労働条件が会社のルールが記された書面が
何もない、 ということは避けたいものです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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