第446号
メジャーリーグでは昔「ハーモニー」という言葉が
よく使われたといいます。今は「ケミストリー」が
使われることが多いと言ったのは、スポーツジャーナリストの
二宮清純さんです。
これがもう10年以上前の将棋の羽生善治さんとの対談の中で
出てきた発言です。
ハーモニーと言えば調和
ケミストリーと言えば、化学、相性 です。
この二宮清純さんと羽生善治さんの対談形式の
「歩をと金に変える人材活用術」
https://www.amazon.co.jp/dp/4532166381
組織と通じる将棋のお話が随所に出てきます。
異質な選手たちが組み合わされたとき、
どういう化学反応を起こすのか、
これがケミストリーの妙です。
将棋の世界では、限られたメンバーだけで
何十年もリーグ戦を戦っている、
と言ってマンネリにならず、
棋士同志にしかわからない成長や堕落がある。と
言います。
確かに、そう考えると調和のハーモニーよりも、
才能と才能をぶつけ合うケミストリーを楽しむ関係性が
ここにもあると言えるかもしれません。
コミュニケーションについて考えるとき
一体感があって、会話が多いい職場は
コミュニケーションがあるか、と言えば、
そうとは限りません。
ケミストリーでいうなら、
批判的なコミュニケーションが
自然にできる環境かどうか。
これがコミュニケーションがあるかどうかです。
おもしろいのは、棋士にケミストリーが起きていのと同様、
駒同志にだってケミストリーが起きているという見方です。
それは羽生さんいわく、駒同志の相乗効果ではなく、
むしろいかに重複させないか。
つまり駒同志の力を消し合わないように、
棋士は気をつけている、といいます。
これは組織で言うなら互いの強みを活かす
という考え方に通じるものです。
せっかく強い駒を持っていても
互いが互いを殺し合って上手くいかない
というのは、野球でいう4番バッターばかりを
集めても優勝できないというたとえで、
わかるでしょうか。
将棋ではこれを「王飛、接近すべからず」と
言うようです。
王様と飛車は近くに置くなということ。
どちらも強い駒なので、
力を消し合ってしまうからです。
それと、攻められた場合、両方守らなければ
ならないから、逃げるのに時間がかかるからです。
合理的ではない、ということですね。
だから全体の陣形にはこだわります。
素早く対応できるよう、バランスが崩れないよう
大局を見て、かつ次の一手を読んでいくわけです。
力を発揮していない駒がないように、
バランスよく使えているか見るというのも、
棋士のこだわりで、
ここでも強い駒[エース]で勝敗を決するのでなく、
小さい局面での判断、大勢に影響なさそうな判断の
積み重ねが最後に効いてくるというのは
組織に通じる考え方です。
将棋も組織も以下にバランスよく人や駒を使っているか。
それぞれの強みを活かしているか。です。
弱みは引き上げなくていいのか、というのはよく
問われることですが、
羽生さんはこの本の中で、
私も10代の頃は短所だらけで
それを改善しようと努力した。
短所を打ち消すだけで、もともともってる
長所が伸びて、どんどん強くなる。
短所を補えば、確実に前に進めるんです。
でもレベルが上がってくると、それだけじゃ済まない。
短所を消すことでその人の長所まで消えてしまう
ケースが出てくる
組織では、短所と長所は表裏一体
だとわかったうえで、
長所を(つまり強みを)活かすことが
大事です。
なぜなら、人と人は違うからです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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