第437号
事業承継の最後で最大の難関は、
社員を引き継ぐということです。
複数の後継者社長におたずねすると、
お金に事で困ったことはないけれど、
人の事は継いだときからずっと悩んでいると
うかがいました。
後継者社長の悩みは、人の問題に尽きると
考えます。
事業承継は10年くらいかかると思って
取り組みなさい、という方もおられるように
長い時間がかかることに間違いはありません。
事業承継した後継者の方が
まず困られるのは、昇給、賞与です。
どうやって決めればよいのか、というよりも
どう決めても納得してくれないのではないか、
という不安です。
先代が求心力があった方なら尚更で、
後継者社長は、自分が決めたというより
ルールを作って社員の承認を得るために
人事制度を作りたいと依頼されます。
私は、できれば引き継ぐ前に、
人事制度は可視化しておくことを
お薦めします。
ただし、このとき気をつけなければ
ならないのは、引き継ぐにあたり組織を変更する、
戦略を変えるという場合は、今までの評価では
対応できない可能性が大きいので、その場合は
該当しません。
そうでなく、現在の戦略、組織形態を
当分継続することが明らかであるならば、
経営者が様々な人事上の問題を解決しながら
評価を変えて、昇給・賞与の決定に反映してきた
方法を、その経験値は引き継げない、後継者に
これまでの賃金の決め方の集大成ともいうべき
人事制度を引き継ぐ責任があります。
引き継げないと、また1から後継者は
手探りで評価や賃金の決め方に
立ち向かわなければなりません。
人事制度を引き継ぐということは、
単に形を引き継ぐのでなく、
ノウハウを引き継げるということになります。
ノウハウの中には経営者の経験が活かされています。
引き継げなかったときを想像してください。
本当はどういう評価基準だったか
誰も知らない中では
単に金額だけを根拠として、
不平や不満、危機感を感じて
辞めいく社員も出てくることでしょう。
そうならないためにも、
経営者のやってきた評価や賃金の決め方を
可視化しなければなりません。
これは事業承継を決めたときから、
先送りはできません。
事業承継は会社を作ったときから、
あるいは引き継いだときから、
誰もがいつかは行うことです。
人の成長と処遇を決定する
人事制度については、
いつでも作れるように準備をし、
経営者自身が自分の評価に
納得いくようになったら、
可視化するタイミングです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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