第394号
2018年度の「能力開発基本調査」(厚生労働省)の結果を見ると
正社員に対する教育訓練の実施について
計画的なOJT(1)を正社員に実施した事業所は62.9%(前回63.3%)
OFF-JTを正社員に対して実施した事業所は75.7%(前回75.4%)
(1)現場で実際に仕事を進めながら指導する
(2)職場を離れて社内の担当部署が考案したメニューや
外部の研修機関が作成したプログラムを受講し、
必要な知識やスキルの習得を図る
「能力開発基本調査」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/11801500/000496285.pdf
一時期に比べると、社員教育の必要性を感じて
OJTもOFF-JTにも取り組んでいる企業数が
増えていますが、企業を取り巻く環境の変化
が速い昨今では、そのスピードに人材の育成が
ついていけないのが実情です。
能力開発や人材育成に関して
何らかの「問題がある」と回答
した事業所が76.8%とほぼ8割にも上り、
多様化する人材開発や専門能力の向上に
即応しきれていないようです。
最近、顧問先でも新卒を採用するようになってきました。
新卒を採用するということは、思考が
「成長」「育てる」という方向に向かっています。
うれしいことです。
最近はなかなか求人が難しいこともあり、
あまり聞かなくなった「即戦力がほしい」
でも本音は即戦力がほしい。
なぜ即戦力がほしいのでしょうか。
中小企業の場合、どうしても人が辞めたから
その補充として採用を考えています。
ですから、入社したらすぐ力を発揮して
成果を上げてもらいたいのです。
そのため、同じ業種、業界からの転職者を
求める傾向があります。
これが即戦力のイメージです。
人事制度を作った経営者ならわかると思いますが、
たとえ、同業、同規模、同じ業界出身者を採用しても、
以前の会社と同じ経営方針とは限りません。
なぜなら、経営者が違うからです。
人事制度作成時、最初は同業の評価シートを
見せてほしいとおっしゃる経営者も、
最終的には、「見なくて正解でした」と、
おっしゃいます。
つまり「即戦力」はいません。
即戦力にならないのなら、
中途採用で25万円の給与を支払うのと、
新卒に20万円支払うのではどちらがよいでしょうか。
結果として、しっかりと成長し、
思った以上に早期に高い成果を
新卒が上げることに気が付くことになります。
ここで問題だと経営者が感じることが、
社内で育てる=教育できない、というもの。
最初にあげた調査では
能力開発や人材育成に関しての問題として
「指導する人材が不足している」が
最も多く54.4%でした。
では、外部の講師を招いたり、
外部研修を受けに行くのがよいのでしょうか。
私は、研修講師として企業研修を担当するとき、
評価者研修で、その会社の評価シートを使って、
実際に評価点数をつけてもらう”ワーク”を
取り入れます。
つまり、教材ではなく、自社の評価シートを
使って学ぶなら、講師も外部から招く必要は
ないのかもしれません。
私が教材ではなく、自社の評価シートを使用
するのは、受講者に自分ごととして、研修を
とらえてもらうためです。
一般論を学んでも、実践の場ではなかなか
応用できません。
そこで、研修自体の内製化もアリだと考えています。
その会社の評価シートで高い点数をとっている
“優れている”とされる社員が講師をするというものです。
評価シートは、その職種ごとに
実現を“期待されている成果”
その成果を上げるための“重要業務”
その重要業務を遂行するための“知識・技術”
その仕事をする上での“考え方・心構え”
が、書かれています。
この4つのいわゆる評価項目が
高い成果を上げている“優れた”社員は
やるべきことをやっており、
知識・技術を身につけており、
好ましい考え方で仕事をしている
と、言えます。
成果の上がってない社員は、
重要業務ができていないか、
知識・技術が身に着いていないか、
勤務態度に問題があるのか
これらのいずれかです。
これらを教育訓練をして改善していけば、
高い成果を上げている社員と
同じ高い成果を上げることができるというものです。
そしてそれを一番的確に教えられるのが、
評価シートで80点以上をとっている
優れた社員です。
社員教育を内製化することもアリというより、
むしろ、内製化することが、社員の成長の
一番の早道かもしれません。
では、すでに評価シートで80点をとっている社員は
誰が教育するのでしょうか?
その社員たちこそ、社外の研修にどんどん行って
ますます成長していっていただきましょう。
そして、社内に刺激をもたらしていただきましょう。
成長するかどうかは本人しだいです。
そしてそのタイミングはそれぞれです。
大企業ではなかなか難しいですが、
画一的に社外講師を招いた研修を計画するよりも
もう少し柔軟に、必要なときに教育研修を組むためにも、
優れた社員が講師を務める”研修の内製化”は効果があります。
お読みいただき、ありがとうございました。
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