第360号
今年も新卒社員が入社された会社も
多いことかと思います。
人事制度を作っている際、初任給をいくらにしようかと
悩むものです。
いくらぐらい払えばいいのかな?
という視点です。
実は、初任給の問題は、翌年に現れます。
人の採用が難しいと、初任給を上げようか、と
考える会社も多いことでしょう。
厚生労働省の平成30年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/18/01.html
この統計を見ると、
平成30年度の初任給は、
大学院卒、大学卒、高専・短大卒、高校卒の区分
で見ると、男女ともに、女子の大学卒以外、
前年よりも増加しています。
男女計でみると、平成26年から平成30年まで
毎年増加しています。
企業規模別でみても、中小企業については
大学院卒、大学卒、高専・短大卒、高校卒の
区分すべてで、平成29年より平成30年は
増加しています。
少子高齢化による労働人口の減少
新卒に限りませんが、採用が難しいこともあって、
初任給の増加の流れは、今後も続くと思われます。
これがどういう影響を及ぼすかというと、
たとえば、
昨年入社した新卒社員の賃金を考えてみましょう。
昨年入社した新入社員の初任給が20万円
今年採用した社員の初任給が20万5,000円
戦略として初任給を5000円上げた会社があったとします。
この場合、昨年入社した社員は20万円から
20万5,000円以上に昇給していなければなりません。
昨年と今年入った社員の賃金が同じでは、
1年先輩の社員としては、納得いかないでしょうし、
今年の初任給が上回るなどというのは勿論論外です。
どのように賃金を上げていくのがよいのか、
その幅(ピッチ)も含めて考えていかなければ
なりません。
例えば上で述べたように初任給を5,000円
上げたのだから、全員一律5000円
上げるということでもよいですが、
そこには人件費増に耐えうる利益があるかどうかの
検証が必要です。
ただ、ここ5年毎年上がっている初任給ですから
毎年全員一律初任給の増加額と同額を
増やしていくことは、現実的ではありません。
会社の予算を考えても無理がありますね。
では、どうすればよいのでしょうか。
例えば生活給の支援として、
一般職層の間はできるだけ早く
基本給を30万円まで上げていくという
意図の会社が私の周りでも多くあります。
多くの会社が、30歳代までは
昇給額を大きく設定しようとしています。
そこで、一般職の社員だけ、
その初任給を上げた分だけの加算をする
という考え方は、会社としても素直に受け入れ
やすいかもしれません。
例えば初任給を5,000円上げるのであれば、
一般職層の社員だけを対象に
基本給を5,000円上げるというものです。
これが影響を最小限度にして、
かつ会社の考えにも添った方法かと考えます。
中堅職以上は、むしろ一律で上がるというのでなく、
実力で基本給をアップしていってほしいというのも、
人事制度を導入する会社の多くが思うところです。
よって、初任給のアップした分を加算しなくても
十分自分の成長で昇給を得られると、むしろ
認識してもらえるように運用するのがよいでしょう。
人事制度を導入した会社から、
翌年、よく問い合わせがくるのがこの初任給アップ問題です。
あらかじめ対策をとっていれば、あわてなくてもすみますし、
なにより、初任給が自分たちのときより高いと知った
在職する社員の不安や不満が出る前に、
来年の対応として説明できれば、
大きな問題には発展しないことでしょう。
一番怖いのは、よくわからない社員の方が、
自分で初任給の違いを不公平と解釈してしまうことです。
このようなルールを取り入れるならば、
会社のルールとして「全社員」に向けて
まず説明をしましょう。
勿論、かならず初任給を毎年アップしなければ
ならない、ということではありません。
ひとつの会社の考え方です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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