第343号
今日は法改正情報です。
どう考えても、文字だらけになりそうです。
働き方改革関連法と言えば、
残業時間の上限規制や
1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得
雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
(同一労働 同一賃金)
などが思い浮かびます。
労働安全衛生法(安衛法)についても
法改正があります。
でも、あまりにも労働基準法関連が
ボリュームが多くて、
ちょっと後回しになっている状態の会社も
多いのではないかと思います。
そんな会社向けへの情報です。
1)産業医の活動環境の整備
①事業者から産業医に対する情報提供等を充実・強化
②産業医の活動と衛生委員会との関係を強化
2)労働者に対する健康相談の体制整備、労働者の健康情報の適正な取扱いルールの推進
①産業医等による労働者の健康相談を強化
②事業者による労働者の健康情報の適正な取扱いを推進
これらの改正から、
事業者は、医師等による面接指導や
健康診断の結果などから
必要な健康情報を取得し、労働者の
健康と安全を確保することが求められます。
健康情報については、
労働者にとって機微な情報も含まれている
ことから、労働者が雇用管理において
労働者の不利益な取扱いにつながる
不安なく安心して産業医等による
健康相談等を受けられるようにするとともに、
事業者が必要な情報を取得して
労働者の健康確保措置を十全に行える
ようにするため、適切な取扱いが必要である
という背景や経緯から、
「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い
のために事業者が講ずべき措置に関する指針」
が公表されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000343667.pdf
これは、安衛法の改正によって、
産業医や産業保健の機能を
強化するにあたり、健康情報の管理
についてルール化されていないと、
労働者の信頼を得られないこととなって、
健康管理が不十分となります。
そこで、健康情報管理を
個人情報保護同様の
厳格な扱いとすることとしました。
これまでも厚生労働省は、
従業員の健康に関する情報は
「健康確保措置に必要な範囲で使う」ように
と言ってきていたのですが、それによって
次のような不都合がありました。
____________________________
・人事担当者が「必要な範囲」の切り分けができず、
必要な情報を現場に回さないために、現場が混乱する
・健康情報はすべてプライバシーにかかわるもの
だと別扱いしすぎて、必要な範囲についても会社が
委託するカウンセラーから何も従業員情報を聞くことができない
・必要な情報が下りてこない現場は、不調者をどう
扱っていいか分からず、本人もどのようにふるまえば
よいのかわからず居心地悪い思いをしている
_____________________________
これらのことを踏まえて、指針には
心身の状態の情報の取扱いに関する原則を明らかにしつつ、
事業者が策定すべき取扱規程の内容
策定の方法、運用等について定めています。
会社として求められる対策は
健康情報取扱規程の作成義務です。
◆規程に含めるべき事項
————————————————————————-
1. 心身の状態の情報を取り扱う目的及び取扱方法
2. 心身の状態の情報を取り扱う者及びその権限並びに
取り扱う心身の状態の情報の範囲
3. 心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法及び本人
同意の取得方法
4. 心身の状態の情報の適正管理の方法
5. 心身の状態の情報の開示、訂正等(追加及び削除を含む。
以下同じ。)及び使用停止等(消去及び第三者への提供の停止
を含む。以下同じ。)の方法
6. 心身の状態の情報の第三者提供の方法
7. 事業承継、組織変更に伴う心身の状態の情報の引継ぎに
関する事項
8. 心身の状態の情報の取扱いに関する苦情の処理
9. 取扱規程の労働者への周知の方法
—————————————————————————-
◆策定の方法
—————————————————————
衛生委員会の設置義務がある事業場:
衛生委員会等を活用して労使関与の下で検討し、
策定したものを労働者と共有することが必要です。
衛生委員会等を設置する義務がない
常時 50 人未満の労働者を使用する事業場:
労働者の意見を聴いた上で取扱規程を策定し、
労働者と共有することが必要です。
——————————————————————
『労働者の個人情報を保護する観点から、
事業者が心身の状態の情報を取り扱えるのは』
・労働安全衛生法令及びその他の法令に基づく場合
・本人が同意している場合
・労働者の生命、身体の保護のために必要がある場合
であって、本人の同意を得ることが困難であるとき等
なお、指針については罰則はありません。
ただ、健康情報管理の不徹底で行政指導を
受けるかもしれませんし、民事裁判になる可能性
もあります。
この機会に、自社の健康管理について
考えてみてはいかがでしょうか。
お読みいただき、ありがとうございました。
このブログをメルマガでも
お届けしています。
ご希望の方は、
下記フォームよりご登録ください。