漫才もチームビルディング

第306号

昨年M-1の日に優勝した「霜降り明星」
について書いたブログで

漫才だけでは売れない今の時代
結成6年目、一気に売れるでしょうか。

と、書きました。

一気に売れたというのが冠番組を持つことだとすると、
この春が正念場です。

その前に、
お笑いの賞レースには、ピン芸人のグランプリ
もあって、それが「R-1ぐらんぷり」と呼ばれています。

この決勝進出者に「霜降り明星」の粗品さんが
選ばれました。

そんな2人が、NSC東京24期生を対象とした
特別授業を行ったという記事を見ました。
http://news.yoshimoto.co.jp/2019/01/entry90300.php

NSC:吉本総合芸能学院の通称
吉本興業が設立した主に新人タレントを
育成する目的で作られた養成所

通常漫才コンビは仲が悪い、あるいは楽屋で
はしゃべらないコンビが多い、と言われていますが、

彼らは

「僕ら、仲がいいんです。喧嘩を1回もしたことがないのが強み」
と言い切ります。

興味深かったのはネタづくり。

背の高いほうの”粗品さん”は、
ネタ合わせの時に気をつけているのは、相方への伝え方。

相方の意見はちょっとちゃうなと思っても、肯定してから否定するというか。確かにA案でもええよな、わかるわ。でも、B案でも良さそうじゃない?って柔らかい言いかたをすると、相方にもちゃんと伝わる

と話します。

彼らはまだ26歳。

お客さんには「伝わるように」と思って舞台にたっても
コンビ間では甘えも出て、こういう気づかいを
しているのはめずらしいと思います。

 

身体をつかった芸が得意な、小さいほうの”せいやさん”は

2人でネタを作っていくうちに、例えば50個考えたとしたら半分くらい発想がかぶるようになる

といいます。

これって、それぞれの世界観[価値観]の
共通項を探すということですね。
舞台降りてきて、なぐりあいということには
なりませんね。

養成所の研究生に
「お互いへの感謝を忘れないようにしてほしい」
と説く二人は、昭和の時代のコンビ間でよく聞いた
コンビの間の嫉妬や嫌悪感などとは
まったく無縁の新世代の芸人さんです。

このふたりの漫才に、
チームビルディングを見たと言っては
何でも例え過ぎだと言われてしまうでしょうか。

大阪人は、ことお笑いに関しては
全員が評論家になってしまう特性がある
ということでお許しいただければ、

互いの欠点を笑うでもなく、
面白い芸人×面白い芸人=もっと面白い芸人

という幸せな関係なのがこのふたりです。

以前、卓球で男子日本一の張本選手と
女子日本一の伊藤選手がミックスダブルス
組んでも必ず勝つとは限らないと書きました。

通常は、面白い芸人と “ じゃないほうの芸人”
という組み合わせが多いのです。

でも、この二人は、
粗品さんの鋭い突っ込み
せいやさんの動きのあるボケ

ともに一級品同志が掛け合わさっています。

個性と個性がぶつかり合って
昇華している稀な組み合わせです。

これって、チームビルディングの定義である
個々の強みや長所を最大限に活かしている
ということそのものです。

そして良さを活かし合うことで

特徴である突っ込みの短いフレーズだけでなく
動きと言葉の漫才の型を融合させたスタイルという、
彼らしかできないスタイルを結成6年目で確立しています。

 

M-1審査員のダウンタウンの松本さんが
いみじくも、講評で
「M-1のトロフィーがすでに2人のシルエットになっている」
と確か言っていたように、漫才に愛された2人です。

 

漫才はうまいだけでは売れません。
お笑いの天才というだけでは
おもしろくなりません。

 

チームビルディングが
人×組織力×関係性の3要素から成るように

個々の面白さ×二人のネタ合わせ×相手へのリスペクト

この3要素を併せ持つ霜降り明星は
売れるべくして、売れる要素が整っているわけです。

 

バラエティの番組にすべて呼ばれて一巡して、
次にまた呼ばれたとき、結果を出せるかが
新人の勝負だと言われています。
次もまた呼ばれるように、
印象づけられる仕事をやり続けるしかありません。

同様に、チームビルディングで成果を出すには、
やりながら学んでいくしかかありません。

お読みいただき、ありがとうございました。

つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗でした。

 

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