第301号
私は出不精なので、意識しないと
誰ともしゃべらない日が続いてしまいます。
仕事はメールでやりとりしますから、
風邪で声が出ないことにもすぐには
気がつかなかったということもありました。
こんなとき「ダメだ、人とつながらなければまずい」
と思ってしまいます。
「人はひとりでは生きていけない」
という価値観によるものです。
でも、今の時代、
お金さえあれば1人でも生きていけそうにも思います。
果たしてどうなんでしょう。
「友だち幻想」という本に出会いました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4480687807
最初は若者向けの本のようにも思いましたが、
読んでみると、おとなにも十分通じる話しでした。
若者も生きづらいかもしれませんが、
大人も生きづらい世の中です。
この本を読むことで、ちょっと楽になれる
のではないかなと思います。
ブログではいつも「人と人は違う」と伝えていますが、
この本では、人と人は違うということを
自分以外はすべて「他者」という表現をします。
自分以外は、みな自分とは違う考え方や
感じ方をする “ 他の人間 ” であると
考えようというのです。
他者には「見知らぬ他者」と「身近な他者」があります。
身近な他者とは
親しい人間でも他者は他者だということです。
どんなに親しくても自分とは違う性質をもった
異質性を持った他者であるという考え方が
すべての人間関係を考えるときの基本的な
大前提だと言います。
この、相手を他者として意識するところから
本当の関係や親しさが生まれます。
親友にしても、恋人にしても、家族でも、
まるごと自分をすべて受け入れてくれるわけではない、
というのが本書のタイトルの「友だち幻想」です。
しかし、作者が言いたいのは
1人で生きていけるということではありません。
1人でも生きていくことができてしまう社会だから、人とつながることが昔より複雑で難しいのは当たり前だし、人とのつながりが本当の意味で大節になってきている
と言います。
それを「親しさを求める作法」が変わったといいます。
みんな同じような職業や生活形態を前提
とするムラ的な共同体から、
人と人の距離感を丁寧に見つめ直したり
気の合わない人とでも一緒にいる作法
への転換です。
チームビルディングは
人材力×組織力×関係性の3要素からなります。
人それぞれの長所、強みを持つ人たちが
一つの目標、目的に向かって、
どういうルールで話し合うか、
どんな価値観の元で会話をしていくか
この3つが、繋がっていって
サイクルのように回っていく事が出来るかが
チームビルディングの流れです。
互いの長所を活かし合って
コミュニケーションをとることと、
仲良くなることは違います。
別に気が合わなくてもよいのです。
” 異質性を尊重 ” することです。
この本に書かれているように
適切な距離は人によって違います。
どうしてもなじめないなら距離をおけばいいし
無理して親密になる必要はありません。
無理に関わらなくても
ぶつからないように、やりすごす
という発想もありです。
親しさと敵対関係の二者択一ではなく、
いったん ” 態度保留 ” もありということです。
私の場合、ひとりで仕事していると
組織などのしがらみがないように
思われがちですが、
いろいろなコミュニティに所属したり、
SNSなど何がしかで人と繋がっています。
知らず知らずのうちにストレスもありますが、
自分以外はすべて「他者」と考えるところ
から始めると、相手の言動に振り回される
ことがなくなります。
過剰な期待を持つのをやめて、
人はどんなに親しくなっても
他者なんだということを意識した上での
信頼感を作っていくのが、
これからの作法なのかもしれません。
この「友だち幻想」は若い人だけでなく
人と繋がりを持っている人すべてにとって
役に立つ1冊です。
お読みいただき、ありがとうございました。
つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗でした。