第220号
ありえないことが起こっている、
そう言っても過言ではありません。
平成22~26年度の5年間に、ゴーン氏が受け取った
役員報酬は計約99億9800万円だったのに、
計約49億8700万円と過少に記載した有価証券報告書を
関東財務局に提出していたというものです。
逮捕の衝撃や余波は、今だに続いています。
ありえないという事象がどうしておこるかというと、
まずその帳本人は、権力、意志決定できる力を
持っている人が多いということです。
プラスに動くときは、改革の断行などは
やりやすいですが、それでも長期間にわたる
権力の集中は普通に考えればよいことは
少ないものです。
今回の不正は、ゴーン氏の意向を受けて
組織的に動いていたとしか考えられません。
そのなかで、” 正しくないことは良くない” として
声を挙げた人がいて、今回の逮捕劇に至るわけです。
この不正に加担し、容認してきた組織が
自ら招いた大きな嵐を乗り越えることは
できるのでしょうか。
結局、日産は
「正しいことを伝える事で、
いったい私たちは何を実現したいのか?」
ここをしっかり見つめていないと、
今回のゴーン・ショックは
日産自身の首を絞めることになります。
日産の株式を43%握るルノーは、
吸収合併や経営統合を望み、
今回の件があっても、緩めることなく
推し進めてくるでしょう。
一方で、カリスマ経営者ゴーン氏が
いなくなった今、求心力が弱まって、
日産、ルノー、三菱自動車の関係が
どうなるかも注目されています。
かって経営と財政危機に瀕していた日産を
ゴーン氏が日産再建に向け社員とともに
「日産リバイバルプラン」を作成して
短期間で日産の経営立て直しを果たしました。
その手腕は村山工場の閉鎖や
大幅な早期退職制度によるリストラなど。
日本人では決して断行できなかったといわれた
改革のおかげで、日産はV字回復するのですが、
その手腕はまさにゴーン・ショックでした。
今、あらたなゴーン・ショックによって
日産はこの試練を乗り越えられるでしょうか。
もうゴーン氏はいません。
ただ、ゴーン氏によって培った強みや経験値はあります。
これを活かせるかどうか、残された経営陣の
マネジメント力が試されます。
お読みいただき、ありがとうございました。
つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗でした。