第118号
少し前、東京医科大学が、
女性の受入学生数を制限するため、
入学試験で得点を改ざんしていた
問題が明らかになりました。
メディアが攻撃する切り口は「男女不平等」です。
時代錯誤もはなはだしい、といわんばかりです。
得点を改ざんするっていうのは
人生を改ざんすることに等しい
ことだと思ったうえで、
それでも
医師の働く現状を考えると、
糾弾するだけでは解決にはなりませんよね。
定期的に眼科の検査で通院している病院は、
女性の医師が多いのですが、
数か月に1度の通院なので、
行くと、頻繁に担当医がかわります。
妊娠、育児休業のタイミングでの
離職が多いと感じていました。
勤務医は過酷ということなのだと思います。
休職中、負荷が増える周りの医師や
復帰する医師も
個人のがんばりだけではどうにもなりません。
”誰もが働きやすい「最高の職場を作る」”
という副題に惹かれて、読んでいます。
「女性の視点で見直す人材育成」(中原淳、トーマツイノベーション著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478102902
よくあるような、スーパーウーマンの
経験談は出てきません。
そのかわりに、
2523名の働く女性のアンケート調査を含む
7,400名あまりの調査結果をもとに分析しています。
もちろん、データに基づいている理論を
展開するからといって、これが答え、
というのではなく、むしろ、この本を
鏡代わりにして自社の組織や人のフォームを
点検するようなイメージで、
職場をアップデートしてくださいというのが
著者のスタンスです。
女性が活躍するにはどうしたらよいか、
という内容ではなく、
ここで扱う女性は、
マイノリティ(少数派)の代表として
取り上げています。
著者は
誤解を恐れず言えば、男性中心文化がいまだ支配的な日本の職場において、女性には“最もメジャーなマイノリティ”としての側面があります。
また、こうも言っています。
女性にすらやさしいチーム・職場・企業をつくれない人・組織は、ダイバーシティの荒波に直面したときに、まず間違いなく暗礁に乗り上げます。
そうなんだとガッテン
採用の現場では、すでに
女性に優しい制度が充実しているかどうかが
男女を問わず、応募者の選択のひとつです。
『多様な働き方の実現』に向けて
どう対応していけばよいのかを考えるために、
そのリトマス試験紙ともいうべき
『女性がいきいきと働ける職場』を
つくれるか、どうかが
経営者や人事担当者の課題です。
女性活躍推進、すなわち
女性本人が要望して企業、組織内で
活躍したいと望むなら、
(あるいは望むような環境を作るには)
必要なことは
1.女性たちが働く職場づくり
2.キャリアステージに応じた支援
と、この本ではまとめています。
私は、働いた業種が小売業、理美容業と、
お客様の対象が女性であることが多く、
女性も多い職場でした。
ですから、男女の不平等がなかった、
と言ってはウソになりますが、
表面的にはそれを感じる場面は少なく
むしろ、新卒の人と中途採用の扱いの違いを、
入社時の配属先で感じたことを思い出しました。
それでも、それと働きづらさとはべつものです。
職場にこれといった不満がなかったのは
どうしてだったんだろうと思っていたのですが、
この本の中の調査結果のひとつを見て、
納得しました。
「働くうえで最も重視しているもの」を調査するなかで、
男女差が大きかったのが、以下の質問への回答です。
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「大変でもやりがいのある仕事をすること」
女性:21.6ポイント
男性:16.1ポイント
5.5ポイント女性のほうが高い。
「給与アップなど見返りがある仕事をすること」
女性:11.3
男性:14.8
3.5ポイント男性のほうが高い。
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この結果から、
「やりがいのある仕事を任されるように
しっかり成長しなさい」ではダメですね。
個人のがんばりに頼るのではなく、
” 女性のこういう気持ちに応えられる
職場を育てることが、
今求められている組織づくり(職場づくり)です ”
たとえば、
この本でとりあげられている20のテーマは、
身近な話しやすい内容なので、
これをもとに、社内で対話することから
始めることをお薦めします。
お読みいただき、ありがとうございました。
つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗でした。