評価の偏りをなくす!ほとんどの行動は無意識に進められる

第073号

信号の青、赤、黄の意味はご存じですか?

青:進め

赤:止まれ

黄:注意

ではないのですね。

実は道路交通法では

歩行者は、道路の横断を始めてはならず、
また、道路を横断している歩行者は、すみやかに、
その横断を終わるか、又は横断をやめて
引き返さなければならないこと。

とされています。

どうしてこういう話をしたかと言うと、

先日NHKのバラエティで、
信号機の青信号はなぜ青信号というのか?
ということを取り上げていたからです。

そうです。
青色って言ってるけど緑色ですよね。

では、なぜ青色というのか?

正解は

昭和5年、日本に初めて信号機がついたときは、法令的に“緑色信号”と呼んでいました。

しかし、新聞紙上や一般の人々は“青色信号”や“青信号”といった呼び名で定着していきました。

※色の三原則“赤・青・黄”ということで誰にでも理解されやすいため、信号の色をこの三色に対比させたという説や、日本語で表す“青”の範囲は大変に広く、例えば青葉、青物など緑のものを“青”と呼ぶ場合が多いので“緑色信号”が”青色信号”と呼ばれたという説もあります。

静岡県警察HPより

色としての認識は緑ですが、これを青信号と呼ぶことに
ほとんどの人は違和感持たないと思います。

 

2002年には、ダニエル・カーネマンが
ノーベル経済学賞を受賞したことで
知られるようになった行動経済学。

今まであった経済学に心理学的要素を加えた
比較的新しい学問です。

カーネマンは、
人間の思考モードを2つのシステムに分けて考えています。

システム1:無意識に行動、判断する仕組み
身体が勝手に動くので、スピードが速く
同時に複数のことを処理できます。
あまり疲れません。

システム2:意識的に行動、判断する仕組み
状況を理解したり、何かを考えたり判断したり。
同時に複数の作業を行うことができません。
疲労感や負担感があります。

行動経済学のテーマは”システム1”です。

目や耳から入ってくる刺激に対して、
頭で判断する前に、身体が動いてしまう
状態と言えます。

一方のシステム2は
非常にエネルギーを消耗するため、
どうしてもシステム1で反射的、
直感的に判断することが多いのです。

その結果、どんなに自分に思い込みがあると
分かっていても、それをシステムごと
取り換えることができないのです。
それを端的に示したのが、次の図です。

 

上も下も線の長さは同じに書きましたが、
書いた私自身が見ても、
下の線の方が長く見えます。

カーネマンが「システム」と表現するのは、
こうした抗えない強固な「認知」のことを言っています。

この「認知」に、ゆがみや傾向と言われる
バイアスがかかることから、
時として人は不合理な判断をしてしまいます。

小さいときから摺り込まれた青信号という概念は、
目にしている信号の色が”緑”でも、
わざわざシステム2を発動して考えないで、
システム1で反応して”青”としてしまうということです。

店長を評価する時、
郊外店舗での800万円の売上と
都市型店舗での1000万円の売上では
必ずしも1000万円のほうが価値が高いとは言い難い。

だけど、ついつい人は考えることを節約して、
負荷の小さい簡便な方法で
判断(ここでは1000万円と800万円の額の大きさによる)
してしまう傾向が強い、というようなことです。

評価制度作成時、
達成目標を、達成率や前年比などを
使わないのは、
システム1の持つ
印象や直感で判断しないように、
ということも、ひとつの理由です。

人は、無意識のシステムで判断しがち
なのですから、意識的な行動を
繰り返し実行することで、
無意識の行動になるように
もっていくことしかありません。

評価は偏るものと意識することで、
まずはシステム2を発動させることからですね。

まずは、楽せずシステム2をきちんと発動させることですね。

私が信号機についてあらためて考えることになった
バラエティでは、放送後のホームページで

6月22日(金)23日(土)の放送で、信号の色について、「止まれは赤、注意は黄色」とお伝えしましたが、信号機が黄色の時「歩行者は横断を始めてはならず、車両も安全に停止できない場合を除いては、停止位置を超えて進んではならない」とされています。

したがって、信号の黄色の意味は、「原則“止まれ”」とお伝えすべきでした。
https://www4.nhk.or.jp/chikochan/

このような訂正の文章を掲載していました。

なかなかに思いこみ、通説というのは、
ひっくり返すのは難しいものです。
多くの眼でチェックして番組を作っていても、
システム2を発動させるのは難しいです。

お読みいただき、ありがとうございます。

つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗でした

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