第1033号
プロ野球のオリックス・バファローズの
中嶋監督が慰留を固辞して辞任することに
なりました。
チーム成績が5位に終わった責任をとる、
というのが理由です。
具体的には「選手の慣れ」を挙げて
いました。
いったん組織として成果を出しても
そこがゴールではありません。
上手くいかなくなったら
もう一度組織づくりを始めなければ
なりません。
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中嶋監督は、こんな苦言を呈しています。
「今まで通りにやってても、人って慣れる
じゃないですか。慣れという部分が今年は
強く出てしまった。
初めに言っていたのは全力疾走であり、
攻守交代であり、そこはしっかりやって
くれと。
(中略)
どれだけ言っても改善されなかった」
そして、
言い続けても出来ないなら、何かが
足りないんだろうから、
新しいことを始めるときには新しい人が
始めるべきだ
という判断をされて、辞任となりました。
2021年から3年間リーグ優勝してきた
チームであっても、
勝つ中で身についたはずの勝ち癖(習慣)
が、悪い意味での慣れに転じてしまった
といえます。
慣れとは、
『精選版 日本国語大辞典』—————
あるものや事態にたびたび出会ったり
経験したりしたために常のこととなる。
珍しくなくなる。
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という意味があります。
「珍しくなくなる」というのは
悪い方向に読み取れば、「油断」
という状態に陥ります。
2023年の優勝時は
中嶋監督の選手起用は適材適所
皆が役割を意識している、と
ブログに書かせていただきました。
チームビルディングは
人材力×組織力×関係力です。
このチームは
人材力という、人の強みを意識
して引き出せていました。
ですから、2023年は打撃の中心の
吉田選手がメジャーへ行っても、
リーグ優勝しました。
今年は、主力ピッチャーがメジャー
や他球団に移籍したうえに、
負傷者も多く出てしまう誤算が
ありました。
そこを、新たな人材の強みを活かし
て乗り切れればよかったのですが、
監督がおっしゃっている、
「全力疾走であり、攻守交代が、
今年はしっかりできていなかった」
というのであれば、
人材力を活かす手前のところで
躓いていたということになります。
「人それぞれ違う」ということに
行き着きます。
これまでなら勝てた状況で勝ちきれ
ない状況がつづくとき、組織の変革
が必要です。
組織に完成はありません。
人が変われば、
あるいはこれまでのやり方が通用
しないなら
もう一度「谷をくぐる」ことが必要
です。
アメリカの学者ブルース・タックマンが、
成果の出るチームができるまでに
“ 必ず通る道 ”としてまとめた法則が
『タックマンモデル』です。
成果は右肩上がりで上がるわけで
なく、いったん谷に向かって落ちて、
底を打ってから這い上がるように
成果が上がっていきます。
この流れが、ちょうどUの字を
描いていることから、
成果を出すためには、
「Uの谷をくぐる」という表現を
します。
1.形成 目的があってチームが作られる
2.嵐 (Uの谷の部分です)
不安や場合によっては絶望な状況
の中で前はできていたことができなく
なったり、行動が止まる
そうして、もがきながら試行錯誤
するなかから
「こうやればいいかも」という糸口
がみつかる
3.秩序
またやる気が出てきてチームの規範や
ルールが確立されて、谷を越えられる
4.成果
チームが成果に向けて機能している状態
お互いを助け合うことで団結力と一体感が
醸成され、各自リーダシップを発揮している
この4段階を経て、組織は成長していきます。
嵐のなかにあって、Uの谷を超えるときの
羅針盤となるのが ”ビジョン”です。
そのビジョンは、嵐の中にいると
見えにくいものだったりしますし、
たとえば
『リーグ4連覇と日本一奪還』という
目標を掲げていても、達成したときに
見えるビジョンの映像が、もう一段
具体的になって、しっかり共有
されていなかったのかもしれません。
ビジョンが見えないと、
「仕方ない」とあきらめて、そこで
止まってしまったり、
指揮官辞任というようなUの谷の底が
抜けてしまうこともあります。
同じビジョンの映像を持つこと、
そして、
未来から現在を見る(具体的な道筋)
ということも大切です。
あらためて組織づくりの難しさを感じます。
お読みいただきありがとうございました。
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