観察しないと評価できないですか

第1042号

普段、仕事している様子を見ることが
できないドライバーについて、どんな
評価項目にすればよいでしょうか、と
いうご相談をいただきました。

コロナ禍でテレワークが広まったときも
同様のご質問をいただいたことを思い
出します。

どの職種でも、
「何を評価しようか」と考えて、答え
をみつけようとすると、
「観察できない」ということが思考の
障壁となって、なかなか項目が決まり
ません。

何を持ってきても正しくないのでは
ないか、
と思ってしまいます。

“ 評価してどうなってほしいのか ”

ここを起点に考えなおしてみると、
自分で勝手に作っている枠(思い込み)
を外して、納得のいく答えにたどりつく
ことができます。
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こうなってほしいためには
何がわかればよいのか、と
評価の『目的』から逆算で考えて、

それを「観察できる、出来ない」を
いったん脇において、評価項目に
落とし込んでみると、

無意識の思い込みを外すことが
できます。

仕事している様子を観察できない、
という事実は、

部下は観察して(ちゃんと見て)評価
しなければならないもの。と思っている
上司にとっては、

「観察できない」ということが致命的
なことに思えてしまいます。

こういうときは、あえて
「評価できること(=答え)」を
みつけにいくのでなく

目的(ゴール)に目を向けてみる
ことです。

例えばドライバーを
『安全運転ができている』という
目的から考えてみたとき

『作業上の安全マニュアルを理解した
行動がとれている』

という行動の評価項目を入れよう
と思うと

それができているかどうかは
実際には、なかなか観て判断する
ことはできません。

毎回同乗することも物理的に無理
です。

観察できない職種については、
自己申告(セルフチェック)を取り入れ
てよいと思います。

結果として、『安全運転ができている』
かどうかは、事故の有無は数字でわかりますし、

ドライブレコーダーでの運転チェック
などで一定の自己申告の裏付けも
できます。

何ができていることがドライバーには
求められているのか、という
目的から、評価項目に落とし込んで
みることで、

思考は

「どうしたら(観察できなくても)
評価できるだろうか」

という方向に向かうことができるよう
になります。

いわゆる、自分で作っている
“ 思い込みを外す ”ことができます。

とはいえ、なかなか自分で自分の
思い込みを外すことは簡単ではあり
ません。

コーチングでは、コーチがその役割
を果たしているのですが、

評価項目を選定するときにやっている
ことは、

できるだけ評価する上司同士が集ま
って、意見交換し合いながら、それ
ぞれの評価項目について質問し合う
なかで、

お互いの思い込みを外せるような場
を設定しています。

ところで、部下の仕事を観察でき
ないということと、

部下の仕事を知らない、ということ
は、別ものです。

部下を観察して(ちゃんと見て)
評価しなければならないと
上司の方々が思っているのも

結果の数字だけを見ているのでは、
上司としてマネジメントしている
とは言えない

ということを知っているからだと
思います。

観察しなくても評価はできる
と言ったことと矛盾するようですが

結果の“ 数字 ”だけ見ているだけでは
やはりそこにも勝手な思い込みで
数字を理解している、
ということは起こり得ます。

数字はわかりやすいですが、
公平とか万能というわけではなく、
実態をあらわしているとは言えない
こともあるからです。

たとえば5段階評価の3を
出来ているととらえるか

出来ていないととらえるか

あるいは、普通というのは、
どちらの部類に入るのか、

というのは、人それぞれです。

評価で大事なこととして、納得
してもらえるかどうかがあります。

それを評価項目そのものだけに
求めるのは無理があります。


よって、運用していくうえで
大切なことは、

仕事全般に当てはまることでも
ありますが、

現場の声を聴くことです。

つまり、部下の話を聴いて
状況を把握することが大切です。

状況を聴けば、知ることは
できます。

観察できなくても
数字だけに頼るのでもなく

知ることができれば
部下に適切な支援ができます。

それは、部下のマネジメントで
一番重要な「人の成長の管理」が
できているということだと思います。

お読みいただきありがとうございました。
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