学園ドラマにサーバントリーダーを見る

第1038号

10年ぶりにオリジナルアルバムを発売
した竹内まりやさん。

アルバムの中の1曲「歌を贈ろう」は、
教師が主人公のドラマ
「素晴らしき哉、先生!」の主題歌
として書き下ろされたものです。

ドラマのなかで、主人公の先輩教師は

「教師っていうのは教え子やその親御さん、
こんなに他人の幸せ願う仕事ってないよね」

と言います。

「教え導く」ことをしない、とは
言いませんが、

教師の仕事を「願う」という言葉で
最終回にセリフにしているのは、
象徴的だと思いました。

教師に限らず、会社の上司も、
あるいは私のような士業も
変えられるのは自分だけ、他人が
人を変えられない以上、

気づきも成長も、最後は信じて
「願う」という、
寄り添う立ち位置しかないのかも
しれないと思うのです。
—————————————————

この主人公の女性教師は、
いわゆる金八先生のような
確固たる信念をもった先生
というわけではありません。

辞めるタイミングを探しながら、
それでも目の前の生徒の問題の
ために走り回っていて、

そんな姿が生徒に信頼され、
愛されています。

竹内まりやさんは、インタビューの
なかで、

この歌は、「悩み傷つきながらも
今日を生きる人たちへの『応援歌』の
つもりで書いた」と言います。

ドラマ書き下ろしですから、そこには
この教師も含まれていて

エンディングにこの曲が流れて、
確かに教師だっていろいろある、
人間なんだから、という視点で
書かれた描写に、

今の時代の空気をあらわした
教師像を見たような気がしました。

昔の学園ドラマなら、
幸せはこっちだと力強く導いて
くれて、いつも正しくて、爽快
で明快でしたが

現代のドラマの教師は
限界を口にし、

いつも力にはなれない、
救えないものもあると生徒に
静かに説きます。

「教え導く」ことをしないわけ
ではないですが、そこに
「幸せになってほしいと願うしか
できない」

という一見矛盾する言葉を並べて
いるところに、答えはひとつではない
難しい時代の教師像が垣間見えます。

「教え導く」ことは今の上司も
求められています。

上司といえば、リーダーシップが
あるかどうかが評価でも問われて
いますが、

リーダーシップは、
上司だけに求められるものでは
ありません。

「俺についてこい」
というリーダーシップだけが、
リーダーシップではなく

リーダーシップとは
役職、権限に関係なく、
誰でも全員が発揮できる
ものです。

人が人に対して与える影響力
を「リーダーシップ」と呼びます。

では上司が上司たるゆえんは
何かというと

これまでのリーダーは概ね、
どこに向かって、どう行くのか
指示命令して

実際の行動も細かくチェックする
というのが、成果を生んできました。

つまり、やり方まで教えてきました。

ただ、リーダーが教えられるのは
自分の(知っている)やり方でしかなく、
それがいつも通用するものではない
状況になってきました。

「教える」ことに価値がある
のでなく

ゴールを示すのはこれまでの
リーダー像と同じですが、

どうすればゴールまで行くのかを
“共に考える”

その、行き方、やり方は
それぞれのやり方に“任せる”

サーバントリーダーシップ
のような捉え方が有効になって
きたのだと感じています。

「サーバントリーダーシップ入門」

サーバントリーダーシップとは
「リーダーである人は、まず相手に
奉仕し、その後相手を導くものである」
というものです。

ゴールを示した上で、メンバー自身の
考え方ややり方に任せて、目標実現
をサポートする。
という考え方です。

確かにドラマのなかで主人公は
なんだかんだ言いながら
現実に、いま目の前にいる
C組の子供たちの力になり
たいと、

走り回って、向き合っていき
ます。

担任として、若い女性の教師
というだけで、初回は保護者に
まったく信用されていなかった
のが、

最終回では未婚のまま子供を
生む決断をした主人公を
保護者も生徒も受け入れます。

結果として昔とは違っても
「教え導く」
今どきの教師像のひとつの形が
提示されていました。

上司や管理職になりたがらない
若手社員が多いと聞きます。

上司が自分の時間をつぶして
部下と向き合おうとしている
様子も知っています。

会社は、自社の持っている
上司像を今一度見直し、
アップデートする必要がある
のではないかと思います。

そこに会社として不都合な真実
があるとしても、会社もまた
向き合う必要があるように思います。

お読みいただきありがとうございました。

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