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2011.12.13【人事労務のポイント】契約社員の雇用(雇止め)の留意点

 

顧問先の皆様、普段お世話になっている皆様はじめ、
名刺交換、セミナーにお越しになった方、
メルマガ登録、ダウンロードしていただいた方等に
お送りしております。

こんにちは。
社会保険労務士の鈴木早苗です。

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≪今日の内容≫

【人事労務のポイント】契約社員の雇用(雇止め)の留意点

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今年も残り少なくなりました。と言っても、まだまだ仕事は「解雇」の
ご相談などが続いたりで、年末気分に浸る暇はありません。

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■【人事労務のポイント】契約社員の雇用(雇止め)の留意点        
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本来、契約社員は有期雇用契約者。

 期間満了で労働契約を終了するのは当然のこと、のはずなのに

 なぜトラブルを想定して、契約満了とすることを躊躇しなければ
ならないのでしょうか?

 有期労働契約の終了

 ・期間満了による雇止め
・期間途中の解雇

この2つです。

契約期間の途中での解雇は、正社員の解雇よりも裁判等で有効性が
争われた場合に認められる可能性はきわめて厳しい。

よって、実務でとるべき方法(みなさんもすでにとっている方法)は

 ・契約期間満了まで契約を継続して、契約の更新をしない(雇止め)
・期間途中で解雇せざるを得ない場合は、一定の金銭補償
(たとえば、期間満了時までの賃金相当額)を行って合意退職

ということになります。

有期雇用の雇止め

 問題となる契約例は次の2つです。

1.相当程度の反復更新の実態から、雇用継続への合理的期待が
認められるもの-期待保護(契約の反復更新を期待させるもの)

2.契約を更新することを前提に契約を締結したもの(黙示の合意が
あると推認されるもの)-期待保護(契約の継続をあらかじめ約束
事とする継続特約を期待させるもの)

なお、契約書に期間の設定はあるものの、実質、自動更新されていたりと
意味をなしていないものは、無期契約とみなされて、無期契約について
規定されている「解雇権濫用法理」が類推適用されるために雇止めの
効力がなくなって無効とみなされます。

上記の1や2について、雇止めの効力については、判例でも有効、無効に
分かれて判断されていて、なかなか統一見解が示されていません。

以下のような事柄を総合的に判断しています。

 ・期間雇用が臨時的なのか、常用なのか

 ・更新回数・契約期間の長短・契約更新手続きの方法と実態

 ・同様の地位、職種の者の雇止めの前例

 ・雇用継続を期待させるような言動の有無

 ・労働者の雇用継続への期待の合理性

有期雇用契約の管理(留意点)

 これまでの判例から、雇止めを有効と認められるためのいくつかの
留意点が見えてきます。

 1.業務内容や契約上の地位が臨時的で常用ではないこと
あるいは、正社員と明確な違いがあること

 2.労働者が有期契約であることを明確に認識している事実が
存在すること

 3.同様の業務内容、地位にある労働者に雇止めの前例があること

 4.契約の更新や継続に期待させないように、更新の上限を設定し
かつそのことを十分説明すること

 5.契約を終了させる必要があるときは、契約を更新しないという
不更新条項を確実に「合意」すること

以上のようなことが認められていると、雇止めが可能とされる「率が高まる」
ということになります。
言いかえれば、これらの状況を積み重ねていなければ、雇止めは認められない
と理解すべきです。

認められないとどうなるかというと、正社員の解雇と同様に
解雇権濫用法理(労働契約法第16条)に照らして
合理性、相当性が判断されることになります。

労働契約法第16条---------------------------
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする。
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有期雇用契約の管理(トラブルの発生を防ぐ)-1

 すでに、厚生労働省の有期雇用の労働条件通知書を使って
いる会社は多いと思いますが、

 そのひな型http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1l.pdf
にあるように

●更新の有無と更新する場合は判断基準

これを明示する必要があります。

その契約が以下の対象者に該当している場合は
雇止めの予告もあらかじめ規定しておきましょう。

規定例 「更新しない場合」
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
契約期間の満了後、契約を更新しない場合には
原則として雇用期間満了の30日前までに通知する。
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対象者
(1)有期労働契約が3回以上更新されている場合
(2)1年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され
最初に労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合
(3)1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合

※上記対象者が雇止めの予告後に理由について証明書を請求した場合は
遅滞なくこれを交付しなければなりません、。雇止め後に請求された
場合も同様です。

●更新時に使用者側が提示する労働条件が更新前の契約と同一条件で
ない場合は次のようにあらかじめ規定しておきましょう。

 ─────── ∞ ────── ∞ ─────── ∞ ──────
注意!
新しい労働条件が「雇止め」を強要するようなことが明らかであった
場合は解雇権の濫用法理の類推適用に該当し、認められないことになる
場合もあることに注意しましょう。
────── ∞ ────── ∞ ─────── ∞ ───────

規定例「労働条件が変更になる場合」
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
契約の更新にあたっては、会社が提示する労働条件について
契約更新時の諸事情(たとえば判断基準)を考慮の上、
従前の労働条件と異なる場合がある。
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

 

有期雇用契約の管理(トラブルの発生を防ぐ)-2

 契約の更新回数の上限設定をする。

 すでに大企業では見られるものですが、正社員の登用制度とセットで
あらかじめ制度として規定する、あるいは契約書の中で更新回数を
制限しているものです。
なかなか中小規模の企業では難しいかもしれません。

 更新回数の上限を記載し、かつ契約(更新)時に十分説明する
文書で記載し、かつ口頭でも説明することが必要です。

 更新限度を超えた更新への期待を持たせる言動をしないことは
言うまでもありません。

 「特例として限度を超える更新」を作ってしまうと
期待を持たせてしまうので、そのためにも正社員登用制度とセットで
導入することが好ましいのです。

 

有期雇用契約の管理(トラブルの発生を防ぐ)-3

 このメルマガ購読いただいている皆さんにとっては、
今日の内容は目新しいものではなかったかもしれません。

 ただ、皆さんのところに情報が届く時点では、すでにトラブルになって
しまっている、ということも多いのではないでしょうか。

 いわゆる現場の上司が契約の更新を忘れたり、書面を渡すだけで
十分な説明をしていなかったり。

 契約更新の時期を知らせる文書
契約更新内容を報告してもらう文書

これらのひな形をあらかじめ作成して、現場の担当者に配布しておくことも
トラブルを未然に防止することにつながります。

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~さいごに~

 今回、契約社員の雇用について書いてみようと思ったのは

 正社員やパートの雇用形態をとっているお客様から、

 あらたに契約社員という雇用形態を導入しようと思うのですが、

 気をつけなければならない点はありますか?とご相談された

 ことや、契約社員の解雇、契約期間満了について、たびたび

 ご質問を受けていたことがきっかけでした。

 原則通りに、有期労働契約の契約社員として契約を終了させるにも

 留意点が多いことは、おわかりいただけたと思います。

 正社員よりも雇用保障が弱いはずの契約社員の契約解消が難しい

 というのでは、導入するメリットは必ずしも高いとは言えませんね。

 雇止めについて使用者側の視点ばかりで話してきましたが、

 「今回限りの契約ですよ」と、あらかじめ労働者に伝えることで、

 労働者に求職活動期間を与えることにもなります。

 契約社員という雇用形態も、雇止めという方法も

 有効に使って、少しでも労働紛争を未然に防ぎましょう。

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鈴 木 早 苗
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鈴木社会保険労務士事務所
東京都中野区沼袋2-15-11-301
phone:03-5345-9727 Fax:03-3389-2961
E-mail:info@suzukey-stone.com
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